しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年6月7日(金)

妊婦加算 見直しを

厚労省検討会がとりまとめ

 妊産婦が安心できる医療・相談の提供体制について議論する厚生労働省の有識者検討会は6日、議論をとりまとめました。

 この検討会は、医療サービスへの対価となる診療報酬の改定で設けた「妊婦加算」に対し、妊婦が病院などを受診したときに窓口負担が上乗せされることから「事実上の妊婦税だ」などの批判が殺到。今年1月に加算が凍結されたことを受けて立ち上げたものです。

 とりまとめでは、出産年齢の上昇やリスクの高い妊娠など妊産婦や周囲への情報提供・相談支援の重要性を指摘。妊産婦への診療には通常より慎重な対応や配慮が必要であり、妊産婦への質の高い診療を評価することは必要だとしました。

 妊婦加算については「単に妊婦を診療したのみで加算されるといった前回と同様の妊婦加算がそのままの形で再開することは適当でない」としたものの、妊産婦の自己負担については、「これから子どもをほしいと思う人にディスインセンティブ(阻害要因)とならないようにすることが必要」と述べるにとどめました。

 自治体間の連携や、産科とそれ以外の診療科との連携、文書での妊産婦への説明が必要だということを掲げたものの、「妊産婦」以外の状態の人との「公平性」などを理由に、国や公費による妊産婦への抜本的な費用支援などには踏み込みませんでした。


解説

医療費助成踏み出せ

 そもそも、妊婦が外来受診した際に窓口負担が増える「妊婦加算」が導入後わずか9カ月で、今年1月から凍結に追い込まれた背景には、現役世代=3割という高すぎる窓口負担の問題があります。「妊婦加算を2020年度から再開する方向」(共同通信、5月24日配信)と報じられていますが、高負担を放置したまま再開するなど許されません。

 すでにインターネット上では「凍結しといて、そのまま解凍したら意味ない」「(与党議員は)少子化問題は最重要課題だとか口先で言いながら、『3人産め』と暴言を吐くだけ。戦闘機を爆買いしている場合か」などの批判が噴出しています。

 こうした“安心して子どもを産み育てたい”という願いに応えるには、厚労省の検討会でも意見が出た、出産前後の妊産婦に対する医療費助成制度が必要です。しかし、公益社団法人「日本産婦人科医会」の調べによると、同制度を実施している都道府県は岩手、茨城、栃木、富山の4県にとどまっています。安倍政権が自治体任せにしているからです。

 むしろ、安倍政権はこの間、入院時の食費・水光熱費の値上げなど患者負担増を繰り返してきました。そのうえ、ネット上で批判が相次いでいる「子どもを最低3人産むように」(桜田義孝前五輪相)といった無責任な発言が止まりません。

 国の責任で、老いも若きも高すぎる窓口負担を軽減し、将来的に負担ゼロにすれば、診療報酬の引き上げが窓口負担増に直結することもなくなります。診療報酬の抜本的引き上げが、産科医をはじめとした深刻な医師不足の解決や地域医療の再建につながります。

 真の子育て支援の実現へ、政治の転換が待ったなしの課題です。(松田大地)

図

pageup