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2019年6月3日(月)

きょうの潮流

 自室にこもる、夜中に奇声を上げる、昼夜が逆転する。インターネットのゲームに熱中する息子のことを友人が嘆いていました。やめさせようとすると、暴言をはくこともあるそうです▼日常生活や家族、仕事にも深刻な支障をきたすゲーム障害。のめり込む子どもや若者が広がり、世界保健機関(WHO)は新たな依存症に認定しました。アルコールやギャンブル依存などと並び、治療が必要な病気として位置づけられました▼最初は暇つぶしのつもりがいつの間にかゲーム中心の毎日となり、心と体がむしばまれていく。患者をみてきた専門家は体力の低下とともに、行動を制御する脳の働きが悪くなると指摘します。これは他の依存症にもみられる症状だと▼スマホをはじめネット環境の普及で、いまや誰もが簡単にゲームに親しめます。対戦型のゲームで勝敗を争う「eスポーツ」に熱狂する若者たちも。それだけに依存症に陥らない付き合い方や予防が欠かせません▼出かけたり施設を予約したりしなくても手っ取り早く楽しめる。ゲームの中で課金しなければお金もかからないし、煩わしい人間関係もない。先の友人が息子にやめられない理由を聞くと、そんな答えが返ってきたといいます▼背景に潜む生きづらさや居場所のなさ、心の隙間や現実からの逃避。それは多くの依存症と同じく、今の世の中の反映ともいえるでしょう。人間らしい生き方とは、本当のつながりや幸せとは。ここにも、社会の現状に対する問いかけがあります。


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