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2019年6月2日(日)

天安門事件30年

事件の「記憶の共有」を

東京大学准教授 阿古智子氏

 中国の民主化運動などに詳しい東京大学の阿古智子(あこ・ともこ)准教授に、天安門事件から30年となる中国社会の状況などを聞きました。(聞き手 小林拓也)


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(写真)阿古智子氏

 中国国内では、天安門事件について語ることはタブーになっています。事件をテーマとして勉強会などを開けば、たとえ少人数であっても当局に拘束される可能性があります。

 中国共産党・政府は、事件について「反動分子による動乱」との立場を変えていません。犠牲者遺族でつくる団体「天安門の母」や一部の知識人は、事件の再評価を求めています。しかし中国政府は再評価を一貫して拒否しています。

 国家の歴史的事件に対しては「記憶の共有」が必要です。第1に、さまざまな立場や角度から研究し、冷静に分析し、教訓を引き出す「記憶」の蓄積です。第2に、この記憶を教育の場で次世代に伝える「共有」です。共有がなければ、将来同じことを繰り返す恐れがあるからです。

 中国は、天安門事件や文化大革命(1966~76年)などに勇気をもって正面から向き合う必要があります。

 2012年に習近平指導部が発足して以来、人権派弁護士らの拘束、新疆ウイグル自治区で少数民族のウイグル族らを強制的に再教育施設に収容するなど締め付けが強まっています。民主化運動ではなくても、14年には全国の農村に図書館をつくる運動も解散させられました。党や政府がコントロールできない組織が現場で活動することを恐れているようです。

 また、AIや先端技術を使った国民への監視や党の主張の宣伝が大規模に行われています。中国社会が上から押さえつける社会になっている気がします。


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