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2019年5月30日(木)

クローズアップ 公明賛成、自民は分裂

「都」構想めぐり攻防

大阪市も堺市もなくすな

 大阪維新の会(代表・松井一郎大阪市長)が執念をみせる大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想をめぐる情勢は、大きな局面を迎えています。同構想に反対の姿勢をとっていた公明党が維新の軍門に下り、自民党が分裂しているからです。「大阪市をなくすな」という世論との激しい攻防が続きます。(渡辺健)


 維新が知事・大阪市長ダブル選に勝利したことなどを受け、公明党大阪府本部(代表・佐藤茂樹衆院議員)は、「大阪都」構想賛成に転じました。維新は来年秋にも住民投票を実施する構えです。自民党大阪府連(会長・渡嘉敷奈緒美衆院議員)は、維新との「連携」を打ち出し、大阪市議団、堺市議団が強く反発し分裂状態になっています。

サービス低下

 公明党は「民意が予想を超えて強かった」(佐藤代表)ことを方針転換の理由にあげましたが、大阪市議選で維新は過半数を獲得できず、「反維新」「反『大阪都』構想」の民意の根強さも示しました。

 公明党が賛成する前提とした「住民サービスを低下させない」「特別区設置コストを最小限に抑える」も、維新による衆院選での対抗馬擁立の脅しに屈したことを取り繕う理由付けにすぎません。特別区設置コストは15年間で約1500億円ともいわれ、その負担が住民サービス関連予算を圧迫しかねません。

 「大阪都」構想は、大阪市という政令市をなくし、複数の特別区にバラバラにし、権限も財源も「都(府)」に吸い上げるというもの。「二重行政解消」の名で維新がやったことは、住吉市民病院の廃止でした。

 「府市一体の方が大阪は成長する」というのが維新の言い分ですが、権限や財源を握る「指揮官」を知事1人にしてどう「大阪を成長」させるのか。いま維新が熱中しているのが、「2025年大阪万博」を隠れみのにカジノを中核とする統合型リゾート(IR)を人工島「夢洲(ゆめしま)」(大阪市此花区)に誘致することです。松井代表は「夢洲開発」を大阪の成長の「西の拠点」にするといってはばかりません。

カジノに熱中

 一時的に大手ゼネコンや鉄道会社が潤ったとしても、日本人からお金を巻き上げ、海外のカジノ資本が大もうけし、ギャンブル依存症による深刻な社会問題を引き起こすことがなんで「大阪の成長」につながるのでしょうか。

 ギャンブル産業のための交通網整備(地下鉄の延伸だけで約540億円)などの公共インフラに巨額の血税を注ぎ込めば、その分、住民サービスや防災対策にしわ寄せがいくことは目に見えています。

 堺市長選(6月9日投票)で維新候補は「IR・夢洲開発」に連動したベイエリア(湾岸地域)開発を打ち出しています。維新による堺市などを巻き込んだ「グレーター大阪」構想が何をもたらすかは明らかです。日本共産党も加わる「住みよい堺市をつくる会」が自主的支援する元市議の野村ともあき候補は「政令市の権限と財源があるからできる堺の成長。だからNO都構想」と訴え、全力をあげています。


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