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2019年5月29日(水)

主張

トランプ氏の訪日

安倍外交の対米従属極まった

 安倍晋三首相が新天皇即位後初めての国賓として招いたトランプ米大統領の日本訪問が終わりました。25日から28日までの滞在中、安倍氏は、トランプ氏を破格の待遇でもてなしました。両氏は首脳会談など機会あるたびに「日米同盟は史上かつてなく強固であり、今や世界で最も緊密な同盟だ」とアピールしました。しかし、トランプ氏の来日で実際に浮き彫りになったのは、史上かつてないほど、世界で最も対米従属的な安倍外交の姿でした。

「歓待」のツケは国民に

 今回のトランプ氏に対する安倍氏の歓迎ぶりは、異常さが際立ちました。26日の日曜日、両氏はまず2時間半かけてゴルフを行いました。プレーをはさんで朝食と昼食をともにしたといいますが、外務省はわざわざ「昼食のメニューは、米国産牛を使用したダブルチーズバーガー」だったとホームページで発表しました。日米貿易交渉の懸案の一つになっている米国産牛肉を宣伝し、トランプ氏の歓心を買おうとしていることがありありです。

 夕方は、両夫妻で大相撲を観戦し、トランプ氏が、新たに設けられた「米国大統領杯」を優勝力士に贈呈しました。報道によると、トランプ氏のために国技館の升席に特別に設置した特注ソファは1脚50万円、両夫妻で4脚200万円にもなるとされます。「夏場所は異例の『トランプ接待場所』となった」とも報じられました。

 トランプ氏への「おもてなし」は、どんな「成果」を生んだのか。

 27日の首脳会談冒頭、トランプ氏は、日米貿易交渉について「おそらく8月に両国にとってとても良いことが発表される」と語りました。安倍氏の顔を立て、農業分野での交渉が7月の参院選に悪影響を与えないよう、新協定の締結を8月まで先送りするというものです。しかし、トランプ氏は首脳会談後の共同記者会見で「われわれの目標は全ての貿易障壁を取り除くことだ」と述べ、大幅譲歩を迫る考えを隠しません。

 軍事面では、両氏は、28日に海上自衛隊横須賀基地に停泊しているヘリ空母「かが」に乗艦し、約500人の自衛官や米兵を前に訓示しました。安倍氏は、日米の首脳がそろって自衛隊、米軍を激励するのは史上初めてだと述べ、「かが」を改修して米国製の最新鋭戦闘機F35Bを搭載する計画に触れて「日米同盟のさらなる強化に向けて日本はしっかりと役割を果たしていく」と表明しました。

 トランプ氏は訪日中、「かが」艦上の訓示を含め、日本が1機100億円を超えるF35など米国製兵器を大量購入することや、それが米国の貿易赤字解消につながることを繰り返し強調しました。こうした要求に安倍氏は今後も応える姿勢です。トランプ氏歓待の結果、生まれたツケ(負担)は日本国民に回されることになります。

「蜜月」関係は何のため

 安倍氏が、大問題になっている沖縄の辺野古米軍新基地や日米地位協定改定の問題などに触れた形跡はありません。来日直前に公表された米国の未臨界核実験の実施(2月)にも抗議しませんでした。トランプ氏との「蜜月」関係はいったい何のためか。日本が本当の主権国家として、米国と対等・平等の関係を築くことが求められています。


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