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2019年5月22日(水)

きょうの潮流

 元小学校教師で、現在は算数教育について大学で教えている渡辺恵津子さんが、『生活教育』という雑誌の最近号でこんな体験を明かしています▼新任で小学3年生の担任をしていたときのこと。割り算がわからないという子にわかってもらいたくて、一生懸命に説明しました。丁寧に説明しているつもりが、その子は下を向いて泣き出してしまいました。ほかの子が、「先生、泣かせてまで教えないで」▼「子どものため」と思ってやっていたことが、本当は違うのではないか。「学ぶ主人公は子ども自身だ」。そう気づかされたという渡辺さん。その後つねに子どもたちが「学びたい」と思える授業をしようと、さまざまな努力をしてきました▼いま、教師の志望者が減っていることが問題になっています。教員採用試験の受験者は5年連続で減少。背景として過酷な長時間過密労働などが指摘されています▼ほんらい学校の先生は、さまざまな個性をもった子どもたちの成長を支える魅力ある仕事。自分がかかわった子どもが変わっていく姿を語る教師たちの表情は、いつも生き生きしています。ところが学力テストでの点数競争や授業のやり方の画一化など、学校現場を締め付ける政策が、教師という仕事の魅力を奪っています▼子どもたちに学ぶ喜びを。そのためには教師が一人ひとりの子どもを理解し、創意工夫した授業をできるようにゆとりと自主性を保障することです。教師の数を増やして、少人数学級にすることが切に望まれます。


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