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2019年5月13日(月)

きょうの潮流

 731部隊の下部組織を東南アジアにもつくれ。当時の東条英機首相がそう命令を出していた―。少し前のシンガポール紙「ストレーツ・タイムズ」に衝撃の記事が掲載されました▼捕虜や一般市民に人体実験を行い、生物兵器の研究・開発をしていた旧日本軍731部隊。本部は中国東北部のハルビンにありましたが、病原菌を培養するには気候上、東南アジアの方が適しているということが主な理由だったようです▼暗号名「岡9420部隊」。シンガポールに本部、マレーシアに細菌兵器の製造拠点を置いていました。東条がその方面の司令官、畑俊六に部隊設立を命じていたことをシンガポールの研究者がつきとめ、検証作業が始まろうとしています▼岡部隊は1942年、医師や細菌の専門家など日本人職員146人で発足しました。ペスト、マラリア、コレラ、発疹チフス。それらの菌を繁殖させる作業に携わっていた現地の住民が新聞や映像で証言しています▼東条や畑は戦後、A級戦犯として裁かれました。ところが悪魔といわれた731部隊の幹部らは残虐な犯罪を実行したにもかかわらず、米軍に成果を提供し協力したことで追及を免れ、医学界に復帰した人物も▼他国を踏み荒らし、人を人とも思わぬ所業の数々。いままた、この国の政権は侵略戦争と植民地支配を「正しかった」と主張する勢力と一体になって改憲をくわだてています。二度と戦争をしないと誓った憲法9条こそ、アジアや世界への約束であることも忘れて。


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