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2019年5月9日(木)

英通販センター過酷

救急車急増 残業強制

トイレ行けず

 【ベルリン=伊藤寿庸】過酷な労働実態が問題視されてきた英国の大手通販・小売業者の配送センターで、救急車の出動が急増していることが明らかになりました。労働組合は非人間的な労働条件を示すものだと批判しています。


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(写真)2017年9月、ロンドン中心部のスポーツダイレクトの店舗前で労組が行った抗議行動(労組「ユナイト」ミックスト・フリート支部の公式ツイッターから)

 英メディアが7日報じたのは、情報公開法に基づく請求で判明した昨年1年間の通販・小売業者の倉庫や配送センターへの救急車の出動件数です。

 衣料通販「エイソス」(ASOS)の英中部バーンズリーの配送センターでは45回(過去3年間で148回)、スポーツ用品の大手「JDスポーツ」の中部マンチェスター近郊の配送センターでは40回(同117回)でした。このほかスーパー最大手テスコ(南部ミルトンケインズ)で23回、アマゾン(中部ウォリントン)21回など。

 英国最大の労働組合ユナイトは「雇用者が労働組合と協力し、人々を敬意をもって扱えば、事故も減り、より健康で安全な職場にできるはずだ」(マット・ドレーパー全国幹部)と指摘。都市一般労組GMBは、「労働者が救急車で搬送されている間に、経営者は巨万の利益を上げている」と批判しました。

 急成長している通販業者は、巨大な倉庫で労働者に低賃金・長時間労働を強いています。労働者は▽残業の強制で立ったまま眠ってしまうほど疲労困ぱいする▽トイレ時間も制限されペットボトルや流し場で用を足している▽電子端末によって行動を監視され強いストレスを受ける―など過酷な搾取にさらされています。

 JDスポーツのスポークスマンは、「わが社の規模を考えれば、救急車の出動件数は比率的には極めて低い」「労働条件とは全く無関係な出動もあったと思う」などと釈明しました。同社は2016年に、最低賃金を下回る賃金で労働者を家畜のように扱っていた内部映像が公表され、社会的批判にさらされた前例があります。

 今回救急車の出動件数が減少したスポーツ用品大手の「スポーツダイレクト」は、16年に下院の特別委員会で、違法な労働実態について調査が行われ、経営陣を非難する報告書も発表されていました。


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