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2019年5月9日(木)

制度の財政検証 「改革」影響も試算

年金 参院選の大争点

来月にも公表か

 政府の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の年金部会を中心に、公的年金制度に関する財政検証の議論が進められています。財政検証では、現行制度の検証とともに、安倍政権が年金削減を狙って進めている制度「改革」の影響をはじくオプション試算も行われます。財政検証の結果は6月中に公表される見通しで、夏の参院選挙では年金問題が改めて重要な争点となります。

 国の年金制度では、年金財政の健全性を維持するためとして、法律で少なくとも5年ごとに、社会・経済の将来推計などをもとに現行制度のもとでの財政の現状と見通しを明らかにする財政検証を行うこととされています。

 今年がその財政検証の年に当たり、昨年春から、検証のとりまとめに向けた議論が重ねられています。

 厚労省は3月13日の第8回部会に「2019年財政検証の基本的枠組み」を提案し、おおむね了承されました。そのなかで「制度改正の検討のためのオプション試算」として、(1)年金額改定ルールの見直し(2)被用者保険のさらなる適用拡大(3)保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択化―を実施した場合の年金水準や財政などに与える影響を試算するとしました。

 このうち、(1)の試算は、安倍政権が21年度からの導入を狙う「賃金マイナススライド」による影響を明らかにするものです。この仕組みは、「物価」の上昇率と現役世代の「賃金」の変動率に基づいて年金額を改定するスライド制を改悪し、「賃金」がマイナスになった場合は、「物価」がプラスでも「賃金」にあわせて年金を削るというものです。

 (3)の試算は、国民年金保険料の納付期間(現在20~60歳)を延長した場合や厚生年金保険の加入年齢を70歳以上に延長した場合、老齢年金の繰り下げ受給制度の対象年齢を70歳超に延ばした場合などについて、その影響を明らかにするものです。

 多くの高齢者は、消費税増税や年金削減、医療・介護の自己負担増などで年金収入だけでは暮らせないために無理をして働き続けています。

 安倍政権は、高齢者が年金額の上乗せをあてにして、保険料を納め続けたり、年金受給をがまんしたりして働き続けるように年金制度を見直そうとしています。(3)は、その見直しの影響を試算するものです。

 財政検証の結果を受けて、安倍政権はいっそうの年金削減のための「改革」を推し進める構えです。

 日本共産党は、安倍政権による年金削減の「改革」にストップをかけ、低額年金の底上げと「減らない年金制度」への転換、さらに全額国庫負担による最低保障年金制度の確立を提案しています。

 また、高齢者が自らの意欲と能力にふさわしく働ける環境を整備することとあわせて、社会保障を抜本的に拡充し“高齢者が無理をして働かなくても暮らしていける社会”に転換することをめざしています。(村崎直人)


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