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2019年5月6日(月)

主張

コンビニの営業

過酷な働き方ただすルールを

 「24時間、年中無休」の営業などコンビニエンスストアのあり方が大きな問題になっています。コンビニ加盟店オーナーの時間短縮を求める悲痛な訴えなどをきっかけに、政府もコンビニ大手も対応をとりはじめましたが、抜本的な見直しには依然として及び腰です。人手確保がままならず、オーナーが休みなしで店頭に立たざるをえない過酷な働き方のまん延などを放置することはできません。コンビニ本部に対して力の弱い加盟店の権利を守り、安心して営業を続けられるルールづくりや法制化を真剣に検討する時です。

「24時間営業は限界」

 本部はもうけをあげる一方、加盟店はオーナーの休みの保障もなく利益も上がらない―。コンビニ業界の抱える深刻な実態は、長く社会的な問題になっていました。今年2月、大阪府内のセブンイレブン加盟店のオーナーが、ひどい働き方に耐えかね、やむにやまれず深夜営業をやめたところ、セブン本部が違約金を求めるなどしたため、24時間営業の是非などが改めて問われる事態になりました。「家族が死んでも休めない」などというのは、非人間的で、健康で文化的な生活とはいえません。

 全国約5万5千店舗のコンビニのほとんどは、家族などを中心にした小規模業者です。本部とフランチャイズ(FC)契約を結んで営業しますが、契約内容は本部が圧倒的に優位です。売り上げ利益も、本部側が有利になるよう設定されており、店舗側は人件費などをまかなわなければなりません。現在の人手不足のもとでは、バイト代を上げても深夜の人の確保は困難です。それでも「24時間、年中無休」がやめられないとなれば、オーナーがわが身を犠牲にして営業を継続するしかありません。

 営業時間などの決定権は本来加盟店のものです。それを基本的に認めようとせず、オーナーに命を削る労働を迫るようなコンビニ業界の構造には無理があり、転換が求められていることは明白です。

 コンビニの悲惨な実態がクローズアップされる中、コンビニ大手各社も、時間短縮の実験を始めるなどしています。24時間営業をしない店舗を増やす動きなども出ています。しかし、「24時間、年中無休」という経営スタイルを根本的に変える姿勢ではありません。

 経済産業省もコンビニ業界への改善の要請などにとどまっています。コンビニ問題を繰り返し国会で取り上げている日本共産党の辰巳孝太郎参院議員の質問に、公正取引委員会は、利益が少ないのに本部側が24時間営業を加盟店に強いた場合は、優越的地位の乱用を禁じた独占禁止法違反になることもある、と認めました。政府は本気で是正に動くべきです。

健全な発展のためには

 コンビニは買い物とともに、公共料金の支払い、災害時支援拠点としても地域で役割を果たしています。その担い手のオーナーが異常な働き方で追い詰められ、後継者もできないような状況が続くようでは、業界の健全な発展はありません。加盟店の地位と権利を保障し、本部から不利益を受けないよう対等の関係をつくるために「フランチャイズ取引適正化法」を制定すべきです。外食産業でも24時間営業をやめる店が目立ち始めており、日本の「24時間社会」自体を問い直すことも必要です。


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