しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年5月3日(金)

きょうの潮流

 カバではありません。先祖は北欧の家々にある大きなストーブの後ろに住み着いていた妖精。ムーミンはそこから進化した小さな生き物です▼日本とフィンランドの国交100周年を記念して、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで「ムーミン展」が開かれています▼作者のトーベ・ヤンソンは1914年ヘルシンキ生まれ。風刺雑誌の画家として、戦争を糾弾し、好戦的な政治家を嘲弄(ちょうろう)する作品を果敢に描いていましたが、第2次世界大戦が始まった39年、徒労感に襲われ、寛容で自由な世界を求めてムーミンと仲間たちの物語を書き始めました▼美しい谷のムーミン屋敷の扉には鍵がかかっておらず、訪れる誰もが温かく受け入れられます。歌を作りながら旅を続けるスナフキン、裁縫籠に入るくらい小さくて怖いものなしのミイ、きれいなものが好きな臆病で泣き虫のスニフ…。人間とも動物とも妖怪ともつかない個性豊かな面々▼ある日、いじめられて透明になってしまったニンニがムーミン家にやってきました。医者に連れていこうかと心配するパパ、そっと見守り世話をするママ、傷つけないよう気を使うムーミン。ミイは「たたかうことを覚えなければ自分の顔は持てない」と一喝します。ついには大笑いして姿を取り戻すニンニ▼作者が目指したのは、どんな存在も対等で自分らしく好きなように生きられ全ての命の尊厳が守られる社会でしょう。多文化共生の課題に直面する私たちに大切なヒントを与えてくれます。


pageup