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2019年5月1日(水)

メキシコ 家事労働者の権利強化へ

最低賃金提案の意向

法律に有給休暇など明記

 メキシコでは昨年12月に発足した新興左派・国家再生運動(MORENA)のロペスオブラドール政権のもと、家事労働者の権利を強化する動きが始まっています。政労使でつくる機関は最低賃金を導入する姿勢を示し、近く具体的な額を提案します。上院はこのほど全会一致で労働法改正案を可決し、家事労働者の賃金や休暇などの権利を定めました。(島田峰隆)


 メキシコ政府によると、雇われて掃除や洗濯などに従事する家事労働者は約230万人います。約9割は女性です。家事労働者については最低賃金が定められておらず、約4割はメキシコの一般的な最低賃金額である日額103ペソ(約607円)を下回る賃金で働いています。

 政府と労働組合、経営者団体の代表からなる最低賃金委員会のアンドレス・ペニャロサ委員長は25日、5月にも家事労働者の最低賃金について提案を行う意向を表明しました。

 ペニャロサ氏は「数十年にわたり購買力を失ってきたすべての労働者の歴史的な負債を清算する一歩だ」と強調。金額については「雇用創出を妨げないと同時に、闇労働に余地を与えない程度の均衡のとれた額」にするとしています。

 メキシコ上院が23日に可決した労働法改正は、家事労働者を雇う際に書面で契約を交わすことを雇用者に義務付けました。15歳以下の子どもの雇用を禁止したほか、最低賃金、有給休暇、週休、社会保障などの権利を明記しました。

 男女平等を目指して活動する政府機関「全国女性機構」の代表ナディネ・ガスマン氏はメキシコ紙に対し「法律による権利保護を求めてたたかってきた家事労働者にとって前進だ」と指摘。「全国女性機構」は、労働法改正は国際労働機関(ILO)の家事労働者条約(メキシコは未批准)に応じた動きだとしています。

 ロペスオブラドール大統領は、1980年代から導入された弱肉強食の新自由主義を批判し、経済政策の転換を公約として掲げています。


 家事労働者条約 家事労働者を労働者と認定し、労働条件の改善を目指す条約。家事労働者も他の労働者と同じ権利を持つべきだとし、最低でも連続24時間の週休確保や雇用条件に関する情報の明示などを定めています。2011年の国際労働機関(ILO)総会で採択、13年9月に発効しました。日本は批准していません。


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