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2019年4月29日(月)

主張

日米の安保協議

平和構築に逆行する同盟拡大

 安倍晋三首相とトランプ米大統領が26日に行った首脳会談は、貿易問題を中心的に協議したほか、先に開催された日米の外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の結果を「歓迎」し、「日米同盟の抑止力、対処力を強化していく」ことを確認しました。2プラス2は、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな戦闘領域での協力強化や、米国製兵器の導入による日本の一層の軍拡を打ち出しています。こうした日米同盟拡大・強化の動きは、アジアと世界の緊張を高め、平和と安定の構築に逆行するものです。

新たな武力行使の恐れ

 19日にワシントンで開かれた2プラス2は、「宇宙、サイバー及び電磁波といった新たな領域における能力向上を含む領域横断(クロス・ドメイン)作戦のための協力を強化していく」(外務省・防衛省発表)ことで一致しました。とりわけ、サイバー攻撃について「日米安保条約第5条にいう武力攻撃に当たり得ることを確認」(同)し、日米の共同対処に言及したことが大きな問題になっています。

 岩屋毅防衛相は日本共産党の井上哲士議員の質問に対し、サイバー攻撃によって「極めて深刻な被害が発生」し、「組織的、計画的に行われていると判断される場合」は、自衛隊が「必要な武力を行使することができる」と答えました(25日、参院外交防衛委員会)。

 サイバー攻撃を「武力攻撃」と判断する基準は極めてあいまいで、「なし崩し的な武力行使」(井上氏)につながる恐れがあります。

 2プラス2が「高性能の装備品の日本への導入を進める」(外務省・防衛省発表)ことで一致したことも看過できません。

 2プラス2が「2国間の協力の分野を詳述する」ために発表した「ファクトシート」には、日本が導入する「高性能の装備品」として、F35ステルス戦闘機、E2D早期警戒機、V22垂直離着陸輸送機、スタンド・オフ・ミサイル(長距離巡航ミサイル)、陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」といった米国製の高額兵器が列挙されています。

 トランプ大統領も26日の首脳会談で「日本は膨大な量の軍事装備品を米国から購入する」と改めて強調しています。

 加えて重大なのは、2プラス2が、沖縄県の米海兵隊普天間基地に代わる名護市辺野古の新基地建設を「唯一の解決策」とし、「同計画を可能な限り早期に完了する」(共同発表文)としたことです。

 しかし、今回の2プラス2は、日米同盟の強化や辺野古新基地建設の最大の口実になってきた北朝鮮の「脅威」について言及がなかったことが特徴です。

北朝鮮「脅威」論消える

 2017年8月の前回の2プラス2では、北朝鮮による軍事挑発や核・ミサイル開発について「平和と安定に対する増大する脅威」と指摘していました。これに対し、今回は、米朝首脳会談をはじめ「朝鮮半島の最終的かつ完全に検証された非核化を達成するための米国の外交努力を歓迎」(共同発表)するとし、北朝鮮を「脅威」とする文言は消えました。

 今、日本に求められるのは、北朝鮮の「脅威」を口実にした軍拡や米軍基地の強化ではなく、東アジアの平和のプロセスを促進させる外交努力を尽くすことです。


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