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2019年4月28日(日)

きょうの潮流

 「教えるとは希望を語ること。学ぶとは誠実を胸にきざむこと」。フランスの詩人、ルイ・アラゴンの「ストラスブール大学の歌」の一節です。教育とは何かを考えるとき、今も光が当てられる言葉です▼1943年、ストラスブール大学の教授や学生が殺され、数百人が逮捕されました。ナチスの弾圧によるものです。事件への怒りを込めてアラゴンが書いたのがこの詩でした▼独裁や圧政のもとでは学びたいことを自由に学ぶ権利、学問の自由が奪われます。それは教育が統制された戦前、戦中の日本を見ても明らかです。権力者は自分に都合のいい「学問」しか認めないからです。現在の日本で学問の自由は守られているでしょうか▼あからさまな弾圧こそないものの、平和教育や歴史教育に対し「偏向している」などと政治家が介入する例は各地にあります。大学では大企業や国家のために役立つとされた研究にだけ多額の予算が配分され、役に立たないとされた分野は劣悪な研究条件下に置かれています。文系学部縮小の動きもあります▼小中学校では「学力向上」として学力テストの点数をあげることが最優先課題のようにされて、「点数アップ」に役立たないことは軽視される傾向も。そんな政策を進める人たちに、はたして誠実さはあるのでしょうか▼学問の価値は役に立つかどうかだけでは測れません。まして国に都合の悪い学問を抑圧するなどあってはなりません。希望を語り合うためには学びたいことを学べる自由が必要です。


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