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2019年4月25日(木)

戦時性暴力、責任追及を

ノーベル平和賞受賞者ら訴え

国連安保理

 国連安保理は23日、戦時や紛争下の性暴力に関する討論を行い、性暴力の完全な停止と被害者中心のアプローチで必要な支援を行うよう関係各国に促す決議を採択しました。市民社会を含む90超の代表が発言した討論では、ノーベル平和賞を受賞した、イラクのナディア・ムラドさんとコンゴ(旧ザイール)の医師デニ・ムクウェゲさんの2人も参加し、性暴力加害者の責任追及を強く求めました。(鎌塚由美)


「慰安婦」問題 韓国が言及

 過激組織ISによるイラクの少数派ヤジディ教徒への性暴力の被害者でもあるムラドさんは、「これまでにヤジディ教徒を性奴隷にした罪で裁判にかけられた人はいない」と述べ、IS戦闘員を裁く特別法廷の設置を訴えました。

 ムクウェゲさんは、武器としての性暴力は国際人道法違反だと強調。国連や各国政府が加害者に制裁を行うよう求め、「裁きなしに被害者(の傷)は完全に癒えない」と述べました。

 国連のグテレス事務総長は、国連が2010年に「紛争下の性暴力担当事務総長特別代表」を創設したことは同問題に取り組む画期となったと指摘。「性暴力は紛争に油を注ぎ永続的な平和に深刻な影響を与え続けている」と強調しました。

 決議案を主導したドイツのマース外相は、各地で性暴力加害者への免責が続いていると指摘し、「被害者は、犯罪後も苦しみ続けている」と述べ、被害者支援の重要性を訴えました。

 一方、今回採択された決議では、被害者支援に関し「性と生殖に関する健康」への言及がなくなりました。ロイター通信によると、同表現には人工妊娠中絶が含まれると理解するトランプ政権が、拒否権発動をちらつかせ、文言を薄めたといいます。これまで、国連総会や安保理の決議で合意されてきた文言ですが、中絶に反対するキリスト教右派にすり寄るトランプ政権が握りつぶした形です。

 同会合では、韓国外務省の李泰鎬(イ・テホ)第2次官が、「慰安婦」問題は普遍的な人権問題だと言及。李氏は「韓国政府は被害者の名誉と尊厳を回復し、この問題を歴史的教訓とする努力を続けていく」と表明しました。これに対し、日本の別所浩郎大使は、日韓両国は15年に「慰安婦」問題を「最終的かつ不可逆的に」解決すると合意していると述べました。


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