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2019年4月20日(土)

きょうの潮流

 われわれにとってはいつも、現在が最高到達点。だから未来を予測することは難しい。しかし、こうもいえるだろう。天文学の未来には、つねに新しい驚きとより広い世界が用意されている▼人類が初めて目にしたブラックホールに沸くなかで、ひとりの天文学者が亡くなりました。海部宣男(かいふ・のりお)さん。少年時代から星空に魅せられ、かなたの世界を知りたいと研究の道へ。若きころ本紙日曜版に連載した『銀河から宇宙へ』は扉を開く本となって長く読み継がれました▼深遠な謎に迫るため、電波望遠鏡の開発に尽力しました。野辺山やハワイの「すばる」をはじめ、今回のブラックホール撮影に重要な役割を果たしたチリのアルマ望遠鏡の建設にも貢献。日本だけでなく、世界の天文学の発展に努めました▼「われ、ただひとたび膨張する宇宙に生まれ、ただひとたびの人生を全うせん」。偶然の積み重ねで創られた地球や人間、私の歴史。それは二つとない。私たちは宇宙の進化がつくった一つの歴史の断面として、この時間を生きていると▼事実を知ることは未来への出発点だと、飽くなき好奇心は他分野にも注がれました。「科学とは事実を理解すること。理解した結果を社会に生かすことが、民主主義的で平和な社会だと思う」▼一人ひとりを大切にする共産党や本紙の報道に共感し、たびたび期待を寄せてくれました。生を奪うものには反対の声を上げ、科学者の暴走には警告を発した海部さん。“人間を大切にすることこそ、科学である”


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