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2019年4月19日(金)

沖縄3区補選「三日攻防」 県民VS.官邸

ヤラ氏勝利こそ新基地阻止の力

自民党は背水の陣 油断は敗北に直結

 沖縄県名護市の辺野古米軍新基地建設ストップを目指す「オール沖縄」のヤラともひろ候補と、安倍政権丸抱えの自民党候補が火花を散らす衆院沖縄3区補選(21日投票)は18日、勝敗を決する「三日攻防」に突入しました。ヤラ候補の必勝には、総力をあげた取り組み、最後までの猛奮闘がカギを握ります。


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(写真)市民と握手するヤラ候補=18日、沖縄県沖縄市

 「玉城デニー知事が長い間守ってきたウチナーンチュ(沖縄県民)の議席を、しっかりと受け継ぎ、沖縄の民意を、国政へとつないでまいります」―。

 沖縄市内の交差点で同日午前8時すぎ、ヤラ氏は街頭演説を開始しました。運動員も多数結集し、「辺野古に基地を造らせないようにしましょう!」などと声を上げました。

 今回の補選は、昨年にデニー知事が同3区選出の衆院議員を辞して知事選に出馬したため、実施されます。

 安倍政権に新基地断念を求めるデニー知事を国政から支える県民の代表を選ぶのか、それとも安倍政権いいなりの新基地推進の人を選ぶのか。“県民対安倍官邸”という対決構図が、いっそう鮮明になっています。

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(写真)ヤラ候補とともに「沖縄を返せ」を歌う人たち=13日、沖縄県名護市の米軍キャンプ・シュワブゲート前

 地元紙(14日付)の世論調査では、補選で重視する政策として、基地問題が44%(沖縄タイムス)、同県宜野湾市にある米軍普天間基地の辺野古移設(新基地建設)が42%(琉球新報)と、どちらも最多でした。

 2月の県民投票で示された新基地反対の圧倒的民意を無視し、辺野古の新たな工区に新基地建設のための埋め立て土砂の投入を強行している安倍政権への怒りが、県民の間で高まり続けています。

 同時に、デニー知事が圧勝した昨年の知事選、県民投票の大成功に続き、ヤラ氏の補選勝利で改めて民意を示すことが、安倍政権を追い詰め、新基地阻止に大きく前進するという「県民の誇りと政治的確信」も表れていることを意味します。

 ヤラ氏は「辺野古の美しい大事な自然を壊すことなく、守っていきましょう。普天間(基地)は一日でも早く返還してもらい、しっかりと地域のために跡地利用していきましょう」と演説しました。

 ヤラ氏と一騎打ちの自民党候補(元沖縄北方担当相)の陣営は、これまでの選挙や運動による県民の審判で追い詰められ、辺野古新基地について触れない「争点そらし」はできなくなりました。

 自民党県連は3月23日の大会で知事選の結果を検証・総括。辺野古の問題を「完全に封印して選挙戦にのぞんだのは明らかに失敗だった」などと文書に記しています。

 相手陣営は、16日に沖縄市内で大規模な決起集会を開き、自民党候補は、辺野古新基地建設の推進を改めて表明。相手陣営は「基地反対では前に進まない」などと、オール沖縄への中傷攻撃を続けています。

暮らし守るのはどちらかも鮮明

消費税増税 ヤラ候補「反対」、自民候補「賛成」

 県民の暮らしにかかわる政策論戦でも、ヤラ陣営の優位性は鮮明です。安倍政権の狙う消費税10%への引き上げを許せば、県民の負担は1世帯あたり年間約4万円の増。買い控えが起こり、好調な県経済に大打撃です。

 ヤラ氏は消費税について、所得の低い人ほど負担が重いと問題点を指摘し、これ以上の引き上げは日本経済に悪影響を及ぼすとしてきっぱりと反対の立場。自民党候補は消費税増税に賛成です。

 自民党候補は、自らの実績として特に、子どもの貧困対策を強調しています。しかし、子育て世帯や貧困家庭ほど負担が重くなる消費税増税に賛成して真の対策ができるのかと、批判の声が上がっています。

 沖縄県の子どもの貧困率が全国平均の約2倍(29・9%)であることは、オール沖縄の故・翁長雄志前知事による全国初の精度の高い実態調査で明らかになりました。翁長前知事は対策のために30億円の基金を開始。就学援助の拡充や返済のいらない奨学金制度の創設を実施しました。

 翁長前知事の遺志と施策を引き継ぐデニー知事は今年度、子どもの貧困対策関連予算を合計234億円とし、市町村と連携して取り組む構えです。公約で掲げた中高生のバス通学無料化の実現も目指しています。

 ヤラ氏は、デニー県政と協力して子どもの貧困の根本解決を目指すことを表明。「子どもたちは私たちの宝です。学ぶ権利を保障し、どのような家庭の事情があるにせよ、すくすくと育ち、自分たちの可能性を追求するような、優しいチムグクル(真心)の社会をつくっていきましょう」と訴えています。

苦い教訓

 地元紙は、ヤラ氏が「先行」などと報じていますが、昨年の名護市長選でも当時現職で新基地反対の稲嶺進氏が、投票前は先行と報道されていましたが、敗北の結果となった苦い経験があります。

 3区内の14市町村長のうち13市町村長が自民党候補を推しています。閣僚や与党国会議員らが続々と投入されています。何より自民党が彼らなりの必死の「総括」をやって、「背水の陣」で総力をあげているだけに、いっさいの油断、ゆるみは許されない状況です。

 ヤラ氏の街頭演説に駆け付けた照屋盛行さん(79)は「ヤラさんの勝利で安倍政権を倒す機運が高まってほしい。最後まで知人や友人に支持を広げたい」と語りました。


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