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2019年4月13日(土)

きょうの潮流

 強制連行から約60年。被害者の尊厳を回復する動きがようやく始まりました。ベルギーのミシェル首相は今月初め、アフリカ植民地で自国が行った人権侵害について国を代表して初めて謝罪しました▼19世紀終わりごろから1960年代初めまでアフリカ中部を植民地にしたベルギー。支配末期の1959~62年、植民地にいたベルギー人男性が現地女性との間にもうけた子どもを拉致し、ベルギーに強制連行しました。植民地の子どもたちが将来ベルギーに対して反乱を起こすことを未然に防ぐことが狙いだったといいます▼被害にあった子どもは1万~2万人。父親が認知せず無国籍のまま放置された人もいます。「人権侵害だった。国家の名において謝罪する」とミシェル首相。国籍取得など行政上の支援も約束しました▼被害者と遺族は謝罪と補償を求めてたたかい続けてきました。強制連行に協力したカトリック教会は一昨年に謝罪。国会も昨年、謝罪と被害者支援を政府に求める決議を全会一致で採択。粘り強い運動が状況を変えてきました▼21世紀に入ったいま、植民地支配の被害については宗主国の責任を過去にさかのぼって問うことが常識になっています。国際政治の到達点を踏まえるとベルギー首相の謝罪は当然といえるでしょう▼もちろん今回は過ちのごく一部について謝罪したにすぎません。それでも被害者らは歴史的な一歩だと期待を寄せています。「国家がついに過ちを認め、国民の記憶に残す義務を果たし始めた」と。


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