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2019年4月9日(火)

リビア 政府軍が反政府勢力空爆

国連は停戦を呼びかけ

 【カイロ=松本眞志】リビア政府軍は7日、反政府武装勢力「リビア国民軍」に対して軍事作戦によって制圧すると表明しました。政府軍のモハメド・アルコヌニ報道官は、「怒りの火山」と銘打つ作戦で「侵略された諸都市の解放」をめざすとしています。


 「リビア国民軍」は首都トリポリ周辺の武装勢力を一掃し、混乱を鎮めるとして、3日に軍事行動を開始。散発的な戦闘を交えながら首都トリポリへの侵入を試みています。7日には首都に通じる道路への空爆も実施しました。

 一方、政府軍は6日にトリポリ南郊の「リビア国民軍」の拠点を初めて空爆。以降、7日までに10回近く空爆を実施しました。「リビア国民軍」側は、戦闘で14人が死亡したと発表。軍事行動開始の3日以降、双方合わせて35人が犠牲になったといわれます。

 現地で活動する国連機関は、市民や負傷者の退避のために停戦を呼びかけていますが、現在、これに応える動きはありません。フランスで5、6日に開催された主要7カ国(G7)の外相会合で各国代表は、「全軍事行動の即時停止」を要請。国連のグテレス事務総長は5日に反政府勢力の拠点ベンガジに入り、「リビア国民軍」司令官と直接面談して政治解決を求めましたが、受け入れられませんでした。


解説

背景に外国勢力

 今回の事態は、反政府勢力の「リビア国民軍」側によって、首都トリポリ近郊の武装勢力を一掃して国の混乱を鎮めるとの名目で引き起こされました。

 しかし、危機の根は深く、全国を統一できない政府の問題や石油資源の利権をめぐる外国勢力の動向などが指摘されています。

 リビアでは2011年、反政府抗議行動と欧米諸国の軍事介入による「内戦」を経て、カダフィ政権が崩壊しました。国民主導の政権交代とは異なる欧米軍の介入を力にした政権打倒は、結果として、国の分裂克服を困難にしました。

 現在、植民地時代の宗主国でカダフィ政権時代から利権を握るイタリアは、政権側を支援。エジプト、ロシアは「リビア国民軍」を支援しているといわれます。(カイロ=松本眞志)


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