2019年4月6日(土)
チームJCP 光る国会論戦
JR北海道問題
ローカル線切り捨て許さず
国の責任を追及
3月14日の参院予算委員会。紙智子議員が掲げたJR北海道の路線図に場内がどよめきました。路線の約半分が、廃線を計画していることを示す赤い点線だったからです。
日高本線の危機
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紙氏はその中で、道南部の沿岸を走る日高本線の危機を告発しました。2015年1月の暴風雪による高波被害以来、4年にわたり鵡川―様似間(116キロ)の不通が続く同線。経営難を理由にバス路線への転換を狙うJR北が、復旧を放置してきました。
同社は1月、沿線7町長の会議で道幹部を通じ、7町が廃線に合意すれば鉄道護岸の復旧に着手するとの方針を示しました。早期復旧を願う住民に背いた揚げ句の表明に、沿線住民でつくる「JR日高線を守る会」は、「なぜ廃止合意と護岸復旧がバーターになるのか」「地方を無視したごり押し」だと憤りの談話を発しています。
紙氏は「廃止を条件に『復旧してやる』というのはおかしい」と追及。石井啓一国交相は「日高線の存廃と、護岸の補修や維持管理に関する地元協議に直接の関係はない」と答えました。他方で、安倍晋三首相は「国交省と地域の関係者でより丁寧な議論をしてもらうことが重要だ」と人ごとのような答弁。紙氏は、生活と物流を支える鉄路を守るのが国の責任だと厳しく抗議しました。
日高線を筆頭に、13区間・1237キロの廃線を打ち出すJR北。山添拓議員が、“背景に国の施策がある”と迫りました。(同12日、参院国交委員会)
焦点を当てたのは、国交省が18年7月に同社に出した監督命令。19年度から2年間で約400億円を支援する前提に、経営改善のための“事業範囲の見直し”として、路線によっては「新サービス」に転換し、不動産業に注力することなどを迫るものです。石井国交相は会見で、「目に見える成果を上げることが重要だ」と述べました。
地元の結論尊重
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山添氏は、「コスト削減のために不採算路線は廃止せよということか」と追及。「地域の関係者との十分な協議が前提だ」と答えた政府に、「地元で『鉄路維持』の結論が出たら尊重するか」と迫り、「十分尊重したい」との答弁を得ました。
山添氏は、経営改善を迫る一方で、赤字の新幹線の札幌延伸をやめない矛盾も追及しました。青森―函館間(16年開業)の利用者は、17年以降、開業前の需要予測の約6割しかなく、同年には新幹線の赤字が鉄道事業全体の赤字の5分の1に上ったと指摘。延伸の事業費は大きく膨らむ危険が大きく、需要予測は評価期間を延ばし、人口減少を加味しないなど「極めていいかげん」なことを浮き彫りにしました。
山添氏は、「新幹線で新たな巨額の赤字を抱えた上に経営改善を求められれば、さらなるローカル線の廃止を迫られる」と強調。分割・民営化当時から赤字になるのが明白だったJR北に「経営自立」の名で黒字化を求めること自体に無理があると批判し、「鉄道事業を続けられるよう国が支援するべきだ」と主張しました。
北海道知事選をたたかう市民と野党の統一候補・石川ともひろ氏は「いったん踏みとどまり、鉄路を残す」と表明しています。