しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年4月6日(土)

辺野古埋め立て 国が承認撤回取り消し

90メートル軟弱地盤言及せず

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、石井啓一国土交通相は5日の記者会見で、沖縄県による辺野古埋め立て承認撤回を取り消すことを決めたと発表しました。国交省は裁決書で「撤回は違法」だと断定しました。

 行政不服審査法に基づく防衛省沖縄防衛局からの請求を審査したもの。私人の権利救済を目的とした同法を悪用し、「国」が「国」を救済する自作自演の審査であり、法治主義と地方自治に深刻な傷痕を残した決定です。

 県は昨年8月末、翁長雄志前知事の意向を踏まえ、辺野古の埋め立て承認を撤回。(1)埋め立て承認に付した留意事項に基づく事前協議を行わずに工事を開始した(2)軟弱地盤、活断層、高さ制限及び返還条件などの問題が承認後に判明(3)サンゴやジュゴンなどの環境保全対策に問題がある―などを撤回の理由にあげました。

 国交省の裁決書では、埋め立て区域のうちC護岸付近について、「地盤改良工事を行わなければ所要の安定性を満足しない」と指摘し、軟弱地盤の存在を認めました。一方、「国内に在籍する作業船により施工が可能なものである」としていますが、最大施工深度70メートルを超える深度90メートルの軟弱地盤の改良に言及していません。

 また、地盤改良に必要な砂の調達を含め、改良工事による工事の長期化で「普天間基地が固定化する」との県の指摘に対して、「地盤改良工事を要することにより工事期間が延びる」と認め、普天間「固定化」への反論はできませんでした。

 「普天間基地の危険性除去」という大義名分が崩壊したにもかかわらず、“埋め立てありき”の乱暴な決定と言えます。


pageup