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2019年4月4日(木)

主張

副大臣「忖度」発言

安倍政権の体質自体が問題だ

 北九州市と山口県下関市を新たに結ぶ「下関北九州道路」計画をめぐり、塚田一郎国土交通副大臣が、安倍晋三首相と麻生太郎副総理・財務相を「忖度(そんたく)」して、計画の調査を国の事業に格上げしたと発言しました。自民党推薦の福岡県知事候補を応援する集会の中での発言です。あけすけな利益誘導にほかなりません。しかも、首相と副総理の意向をくんで道路行政を動かしたことを所管官庁の副大臣自身が公然と語ったものであり、ことは重大です。本人の発言撤回や謝罪で済む話ではありません。安倍政権の姿勢と体質自体が厳しく問われます。

「安倍・麻生道路」の異名

 「下関北九州道路」計画は、安倍首相の地元である下関市と、麻生副総理の地盤である北九州市を、道路でつなぐという構想です。すでに関門海峡には二つの道路が通っており、無駄な公共事業だという批判の中で2008年に凍結されましたが、安倍首相の政権復帰後に計画は再び動きだし、17年度から自治体の調査費がつきました。さらに19年度から国直轄調査として費用を国が全額負担することになりました。

 1日夜、北九州市内で開かれた集会での塚田氏の問題発言は、国直轄の調査に格上げされた経過を生々しく語ったものです。

 塚田氏は、副大臣室で自民党の吉田博美参院幹事長から「これは総理と副総理の地元の事業だ」と言われ、「分かりました」とすぐに答えたことを明らかにし、「総理とか副総理がそんなこと言えません。でも私は忖度します」「私は麻生太郎命、筋金入りの麻生派」「できるだけ早くみなさまのもとに、橋が通るように頑張りたい」などと述べたと報じられています。

 もともと「下関北九州道路」をめぐっては、安倍首相が昨年10月に早期実現を求める発言をしたと伝えられるなど、地元では「安倍・麻生道路」と呼ばれています。

 道路行政を担当する国交省の副大臣という立場の者が、政権トップとナンバー2をおもんぱかって、国の事業にわざわざ引き上げ、予算も手当てしたというのなら事態は深刻です。この道路計画は総額2000億~2700億円とされる巨大開発事業です。政権中枢の政治家の地元だから公共事業をもっていくというのは、文字通りの利益誘導です。この計画は、ただでさえ税金の無駄遣いと大問題になっている事業です。それがこんな形ですすめられてきたとなれば、まさに、政治の私物化です。

 選挙応援で、その“政治力”を自慢し、自民党が推薦する知事候補の票獲得につなげようという発想は「利権政治」そのものです。

 塚田氏は「忖度した」などの一連の発言は事実と異なるとして、撤回・謝罪しましたが、事実関係の説明はなく、説得力はありません。副大臣の資格がないのは明白で、即刻辞任すべきです。

あいまいにできない

 「職責を果たしてもらいたい」と塚田氏を擁護し、罷免を拒む安倍首相の姿勢は重大です。

 塚田氏の発言は、首相の意向に沿う形で政治や行政をゆがめた「森友」「加計」疑惑にも通じる安倍政権の体質自体の問題ではないのか―。安倍政権下で相次いで発覚した疑惑の解明と合わせて、今回の問題も絶対にあいまいにすることはできません。


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