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2019年3月31日(日)

安倍政権の社会保障改悪

16年の制度改悪が高齢者を直撃

年金給付 実質大幅減に

 物価が上がったときに年金給付額が増えなければ、高齢者の生活は困窮します。

 ところが自公政権は2004年の年金制度改悪で、物価より賃金の変動率が低い場合は、賃金変動率を年金改定の指標とすることにしました。19年度の年金改定では、物価がプラス1%で賃金がプラス0・6%だったため賃金変動率が指標にされました。これだけで年金給付額は実質0・4%の減額です。

 04年の改悪ではさらに、少子高齢化の進展に合わせて年金給付を自動的に引き下げる仕組み(マクロ経済スライド)も導入。少子高齢化が続く限り、年金給付額は物価上昇に追い付かない仕組みになりました。19年度のマクロ経済スライドの調整分はマイナス0・2%です。

 ただし、04年改悪の段階では、物価や賃金がマイナスならマクロ経済スライドは発動しませんでした。

 安倍政権はこのルールを16年に改悪。マクロ経済スライドの未実施分を翌年度以降に繰り越すことにしました。アベノミクスで毎年2%の物価上昇を掲げながら、年金給付と物価上昇の差をいっそうひどくする大改悪です。

 18年度は賃金がマイナスでマクロ経済スライドは発動しませんでしたが、安倍政権の改悪によって未実施分が19年度に繰り越し。その結果、19年度は、18年度の繰り越し分マイナス0・3%まで年金改定に反映され、実質的な年金給付額の大幅減になったのです。

協会けんぽの国庫補助の廃止

介護保険料率 過去最高

 介護保険給付は、国や自治体が支出する公費と、企業や国民が支払う保険料で50%ずつ賄う仕組みです。高齢化で介護の利用が増える中、公費負担の割合が増えなければ保険料は上がります。ところが安倍政権は国の負担を縮減。値上げに拍車をかけています。

 安倍政権は2017年の介護保険法改悪で40~64歳の介護保険料を、これまでの各保険の加入者数に応じた決め方から、賃金に応じて決める「総報酬割」に、20年度までに段階的に変更することとしました。同時に、財政難の協会けんぽへの国庫補助1500億円の廃止も決めました。

 中小企業が多く加入する「協会けんぽ」への国庫補助を廃止し、その分を大企業が加入する「健保組合」などに肩代わりさせることで、健保組合の保険料率は上がるが協会けんぽでは下がると説明していました。

 ところが、総報酬割の導入2年目の19年度の協会けんぽの加入者の保険料率は、1・73%と過去最高に。保険料額は、月収32万円の人で年額約7000円もの値上げになります。

 協会けんぽは本紙の取材に、総報酬割による負担減はあったものの、介護給付費の増大などで収支が悪化したとしています。

 本来公費負担を抜本的に増やすべきなのに、安倍政権が国の責任を弱めた結果、国の負担を肩代わりさせられた健保組合だけでなく、「総報酬割」で下がるとされていた協会けんぽまで過去最高の保険料率となったのです。


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