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2019年3月23日(土)

きょうの潮流

 この人を語るとき、いつも思い出す光景があります。試合後の薄暗いベンチ裏でバットやグラブ、シューズを慈しむように磨く姿。寡黙で近寄りがたい雰囲気をかもし出していたのがイチロー選手でした▼念願のプロ野球選手になってから3年目。20歳の青年は一気に高みにのぼります。史上初の年間200安打を達成。その後も日米の球界で数々の記録をぬりかえた偉業は周知の通りです。阪神・淡路大震災の復興を励まし、世界一を決める一打を放つ。記憶に残る活躍ぶりは鮮やかに彩られています▼野球を愛し、野球から愛されました。打つ、走る、守る。グラウンドではだれよりも“能弁”でした。野球というスポーツのおもしろさやだいご味を体現し、国境をこえてファンを魅了しました▼通算4367安打。なによりも、積み重ねを大切にしてきました。つねに全力でプレーするために課した日々の練習や心身の調整。28年、45歳まで現役を続けられたのもプロとしてのあるべき姿を変えずにきたからでしょう▼何事にも始まりと終わりがありますが、もう彼のプレーが見られないと思うと寂しい。しかし、彼が持ち続けた向上心や挑戦する姿勢は、分野をこえ、一つの手本を示してくれました▼「自分が熱中できるもの、夢中になれるものを見つけてほしい。それが見つかれば、自分の前に立ちはだかる壁に向かっていける。向かうことができる」。それは、信念と生き方を貫いたイチロー選手が贈る、子どもたちへのメッセージです。


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