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2019年3月21日(木)

きょうの潮流

 待ちに待った祖国の独立。にもかかわらず島民は全員強制移住させられ故郷を奪われました。インド洋チャゴス諸島の人たちです。原因は米軍基地の建設でした▼アフリカのモーリシャスとともに英領とされていたチャゴス諸島。英国は1965年、米軍基地を造るためにチャゴス諸島を米国に貸与する秘密協議をすすめました。モーリシャスはその3年後に独立しますが、米国と合意した英国はチャゴス諸島をモーリシャスから切り離し英領にとどめました。現地住民の追放後に造られたのがディエゴガルシア米軍基地です▼「祖国の島を返せ」。半世紀以上も要求してきた島民たち。その声が米英を追い詰め始めました。国際司法裁判所が先月、チャゴス諸島の英統治は「不法」だと判断しモーリシャスへの返還を勧告したのです▼返還となれば米国も対応を迫られます。「米国はディエゴガルシアを失うのか?」。米CNNは早速特集を組みました。同基地は米英が強行したイラク戦争などで重要な出撃拠点とされてきたからです▼チャゴス諸島をめぐり国際司法裁に判断を求めることを決めたのは2年前の国連総会。米英などの反対に抗して決議に賛成したのは列強の植民地支配に苦しんだ国々でした。植民地体制の崩壊、独立した主権国家の増加という世界の構造変化の力です▼最終的な返還や住民の帰島までは紆余(うよ)曲折もあるでしょう。しかし歴史は着実に歩みを進めています。植民地支配の不正義を正し、大国の横暴を許さない世界へと。


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