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2019年3月12日(火)

パチンコ店内ATM撤去へ

政府・業界の責任重く

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(写真)初めてパチンコATM問題を告発した本紙2009年11月12日付社会面

 政府の「ギャンブル依存症対策推進基本計画(案)」にパチンコ店内にある銀行ATMの撤去方針が明記されたことで、賭博施設内のATMが依存症を助長するかどうかという議論に“決着”がつきました。もうけ優先で、ながく手をこまねいていた政府、業界、銀行の責任があらためて問われています。

 「急増、深みにはめる気 パチンコ店にATM」という大きな見出しが本紙社会面におどったのは2009年11月12日でした。

 トラストネットワークス社が07年10月に10店舗で試行したパチンコ店内ATMは、すでにこの時点で130店舗にまで広がっていました。親会社のインターネットイニシアティブ社は「今後4、5年で全国のパチンコ店8000店舗まで広げる」という事業計画を公表していました。

 本紙は、この事業がギャンブル依存症拡大の元凶になると批判し、これを許した警察庁、財務省、銀行業界、パチンコ業界の責任を徹底追及しました。

 その結果、トラスト社と提携して銀行ネットワークを提供していた第二地銀の東和銀行がいったんは事業からの撤退を表明し、事業の拡大がストップする状況になりました。

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(写真)パチンコ店内に設置されている銀行ATM=東京都内

 しかし、トラスト社はその後、ATMの利用条件に1カ月間の引き出し額の限度を設けることでパチンコ業界の了承を取り付け、再びパチンコATM設置が拡大してきた経緯があります。

 日本共産党の大門実紀史議員は15年4月の参院地方・消費者特別委員会で「警察庁、金融庁が放置してきたからここまでATMが拡大した」と追及しました。これに対し、警察庁は「業界団体に助言していく」、金融庁は「業務運営について健全かつ適切な判断をすべきだ」と答え、業界まかせの態度をとりました。

 日本共産党の田村智子議員が18年7月の参院内閣委員会でパチンコATMの撤去を求めたさいにも、金融庁は「金融機関による取り組みをモニタリングしていく」という対応でした。

 国内のギャンブル依存症が疑われる人は320万人と推計されています。これは、多くの賭博が公然と行われていることが生み出した深刻な社会問題です。政府は従来の無責任な対応への深い反省にたって、本格的な対策を構築すべきです。


 パチンコ店内ATM パチンコ店内に設置されている銀行の現金自動預払機。大手IT企業インターネットイニシアティブの子会社「トラストネットワークス」(東京都千代田区)が、第二地銀の東和銀行(本店・群馬県前橋市)と提携して展開しており、全国のパチンコ店の1割にあたる1100店舗に広がっています。


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