しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年3月6日(水)

論戦ハイライト

「辺野古が唯一」固執なら普天間固定化――民意ふまえ無条件撤去へ対米交渉を

参院予算委 小池書記局長の質問

 5日の参院予算委員会で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に関し、県民の民意を踏みつけて工事を強行する安倍政権を糾弾した日本共産党の小池晃書記局長。技術的に不可能な軟弱地盤の改良工事、過大な土砂投入費用、米軍の基準違反などの問題点や、普天間基地(宜野湾市)の「危険性除去」を言いながら米軍機の運用を野放しにしている実態が明らかになりました。


写真

(写真)質問する小池晃書記局長(右端)=5日、参院予算委

民意受けとめ辺野古断念を

反対なぜ言えないのか ただちに工事の中止を

 「今回の県民投票の結果は辺野古の新基地建設反対ということが示された結果だな」―。小池氏が、辺野古埋め立て反対が7割以上を示した沖縄県民投票の結果に対する認識をただしたのに対する、安倍晋三首相の答弁は驚くべきものでした。

 首相 県民投票の結果について、政府として評価を加えることは差し控えたい。

 小池 評価ではない。県民投票が示した民意は辺野古反対だ。なぜそれが言えないのか。

 首相 結果は真摯(しんし)に受け止めるが、結果に評価を加えることは差し控える。

 首相の対応に議場は騒然となり、審議は繰り返し中断しました。結局、首相は「小池委員が言われたとおりだ」と述べ、「辺野古新基地反対」の結果を渋々と認めざるをえませんでした。

図

 小池 よほど辺野古新基地建設反対と言いたくないのか。これが揺るがぬ民意だ。それならただちに工事を中止すべきだ。

 これに対して首相は、「普天間基地の危険性除去」を口実に工事継続の考えを示しました。

 小池氏は「普天間基地の返還は県民の悲願であり、当然だ。それを最も望んでいる宜野湾市民も66・7%が辺野古に反対といっている。同じ苦しみを味わわせたくないと言っている」と反論しました。

 それでも政府は、「普天間基地返還のため」(岩屋毅防衛相)と執拗(しつよう)に繰り返します。小池氏は「そういって23年間、普天間は動かなかった。辺野古移設を条件にしている限り、普天間は動かないことは歴史が証明している」と断じました。

軟弱地盤の深さは90メートル「改良可能は70メートル程度」

データを開示せよ

写真
(拡大図はこちら)

(写真)防衛省は国内での地盤改良の施工実績は最深65メートルであると認めたが、辺野古・大浦湾には深度70メートル(点線)を超える軟弱地盤が複数、広範囲に広がっている。図は軟弱地盤とみなされる複数の砂質土、粘性土の堆積を示した沖縄防衛局資料
出典:『地盤に係る設計・施工の検討結果報告書』(2019.1)から北上田毅氏作成

 辺野古北側海域の軟弱地盤の存在と改良工事の必要性は、安倍晋三首相が今国会に入って初めて存在を認めました。小池氏は、軟弱地盤の深さは海面から90メートルに達し、改良工事のため7万7000本もの砂杭(すなぐい)を打ち込む必要があると指摘。「国内では深さ65メートルまでしか工事の実績がない。海面下90メートルまで地盤改良できる作業船が日本には存在しない。技術的にも不可能ではないか」とただしました。

 岩屋毅防衛相は、70メートルまでの工事で安定的な施工が可能だと強弁。これに対し小池氏は、防衛省が国土交通省に提出した「地盤に係る設計・施工の検討結果 報告書」に、「現有作業船の能力」では「改良可能な最大深度はCDL(潮位表基準面)マイナス70mとする」と明記されていると指摘。「それに合わせて『70メートルより下の改良工事の必要なし』としたのではないか」と迫りました。

 小池 下部に地盤改良していない層が20メートルほど存在する。長期にわたり圧密沈下が生じる危険を否定できるか。関西国際空港では、当初の予想をはるかに超える残留沈下になっている。

 鈴木敦夫整備計画局長 対策を取るので安全性に問題はない。

 小池 危険を否定できなかった。辺野古は沈下し続け、使い物にならない基地になる。

 小池氏は「大丈夫」だと言い張る根拠のデータを開示するよう求めたのに対し、政府は不服審査請求の最中を理由に拒否。小池氏は「行政不服審査法を悪用した身内同士の茶番劇だ。『資料出しません、しかし工事は進めます』これでは納得できない」と批判しました。

土砂費用45億円も過大 ただちに契約を見直せ

 小池氏は、辺野古の埋め立てに使う土砂の単価が立方メートル当たり5370円で、3年前のケーソン(箱型の護岸)新設工事の3倍にのぼると明らかにし、過大な税金を使った不当な契約を直ちにやめるよう求めました。

 小池 3年前の工事の際の岩ズリ単価は立方メートル当たり1870円だった。なぜこんなに高いのか。

 鈴木敦夫整備計画局長 埋め立て工事の開始前に需要が増加し、単価が変動した。

 小池 理由の説明になっていない。埋め立てに必要な土砂は129万立方メートルだから、45億円も過大な費用を払っていることになる。

 小池氏は、台風で公共桟橋が使えなくなった際、土砂の搬入に使用する桟橋を設置した「琉球セメント」社の見積もり単価がそのまま採用されていると明らかにし、工事に協力した“見返り”ではないかとただしました。

 小池 何社の見積もりを受けたのか。

 計画局長 13社に対して依頼をし、回答があったのは1社。

 小池氏が「琉球セメントではないか」とただしたのに対し、鈴木氏は「会社のセキュリティーもある」と言及を拒否。「公共事業だぞ!」と議場は騒然としました。鈴木氏は「会社に確認をとってからお答えをしたい」と述べ、琉球セメントだと事実上認めました。

 小池氏は、「琉球セメントに45億円をプレゼントして専用桟橋を使わせてもらったことになる」と指摘。「国民の理解が得られると思うのか。直ちに契約を見直すべきだ」と主張しました。

高さ制限超の建物358件 米国なら基地つくれず

写真

(写真)出典:報道等により小池晃事務所作成

 小池氏は、辺野古に新基地がつくれない理由として、高さ制限の問題もあると指摘しました。

 米軍の基準では、滑走路から45・72メートルの上空で、滑走路の中心から半径2286メートルの空域を「水平表面」としています。辺野古新基地の滑走路は標高約10メートルとされ、高さ54・52メートルを超える建物があってはならないことになります。国立沖縄工業高等専門学校など多くの周辺の建築物が、米軍の定める高さ規制の基準に抵触します。

 防衛省の鈴木敦夫整備計画局長は、54・52メートルを超える物件は358件あることを明らかにしました。

 小池氏は、高さ制限に抵触する建物に小・中学校や郵便局、高専の学生寮もあり、政府が地元への説明で「基本は海の上を飛ぶ」としているが、普天間基地の米軍ヘリは勝手気ままに飛び回っていると指摘しました。

 岩屋毅防衛相は「安全対策をとってもらうよう米側に申し入れる」などとするだけ。小池氏は「飛ぶなといっても米軍が守らないのが実態だ。そもそもアメリカではつくれない基地をなぜ沖縄でつくれるのか」と批判。「辺野古は、海底も地上も、基地をつくれるような条件はない」と指摘しました。

外来機飛来1月は最多 「危険除去」は口先だけ

写真

(写真)出典:沖縄防衛局の資料から小池晃事務所作成

 小池氏は、政府が「普天間基地の危険性除去」のための「辺野古移設」といいながら、同基地で米軍の横暴勝手な運用を野放しにして危険性を激化させていると告発しました。

 防衛省の中村吉利地方協力局長は、普天間基地での米軍機による日米騒音防止協定違反の深夜・未明の離着陸について、昨年2月から今年1月まで、常駐機だけで649回にのぼると説明しました。

 小池氏は、他の基地所属の外来機の離着陸が増加していると指摘。防衛省は、今年1月の外来機の離着陸が378回で、調査開始以来最高となったことを認めました。

 さらに小池氏は、2014年に普天間から岩国基地(山口県)に移転したはずのKC130空中給油機の離着陸が増加していると指摘。中村氏は、KC130の今年1月の離着陸は49回に達すると答弁しました。小池氏は「全く『負担軽減』になっていない」と批判しました。

 さらに、安倍政権が沖縄県と約束した「普天間基地の5年以内の運用停止」についてただしました。

 小池 「5年以内の運用停止」を米国に正面から要求したか。

 首相 米側に説明してきた。相手があることだ。

 小池 要求は一度もしていない。「決意表明」しているだけだ。「危険性の除去」など口にする資格はない。「辺野古が唯一」という限り、普天間は固定化される。新基地強行をやめ、米国に普天間基地の無条件撤去を求めるべきだ。


pageup