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2019年2月28日(木)

主張

消費税増税「対策」

混乱・負担がますます拡大する

 安倍晋三政権が10月から強行を狙う消費税率の10%への引き上げに向け、消費の落ち込みに「十二分の対策」をとるとして持ち出してきた仕組みが混乱の拡大に拍車をかけています。「軽減」でも何でもない複数税率の導入や、キャッシュレス決済の「ポイント還元」、「プレミアム付き」商品券の発行など複雑なやり方が、高齢者など弱者を助けるどころか苦悩させるものだということは、いよいよ明らかです。もともと低所得者ほど負担が重い消費税の増税を、深刻な消費不況が続く中で強行するのは無謀です。百害あって一利なしの増税は中止すべきです。

買う場所や買い方で違う

 何より問題なのは、複数税率導入とポイント還元です。買うもの、買う場所、買う方法によって何通りもの税率になり、消費者はもちろん、中小小売店にも混乱と負担を広げることは必至です。

 複数税率は、消費税率を10%に引き上げる際、食料品や定期購読の新聞は、現在の8%に据え置くなどというものです。みりんは酒類なので税率が10%で、みりん風調味料は食料品なので8%、宅配の新聞は8%、コンビニや駅の売店で買う新聞は10%になるというように複雑です。生きた牛や豚、熱帯魚は10%で、牛肉・豚肉や食用の魚は8%になるなど、あまりにややこしい仕組みです。

 これにポイント還元が加わると、中小商店で買った食料品は、持ち帰れば8%の税率から5%の還元分を引いた3%で、店内で食べれば10%から5%を差し引いた5%になります。フランチャイズのコンビニで持ち帰れば8%から2%を差し引いた6%、店内飲食は10%から2%を差し引いた8%です。大企業のスーパーなどでは持ち帰りでも店内飲食でも還元がなく、それぞれ8%、10%となるなど、ますます混乱を招きます。

 政府はいまだに、ポイント還元の対象となる中小企業の基準を明らかにしていません。仮に中小企業基本法にもとづく、資本金5000万円以下か従業員50人以下の企業を対象にすると、家電量販大手ヨドバシカメラも高級紳士服店「英国屋」も含まれます。零細な商店がポイント還元を実施するには、キャッシュレス取引に対応できるよう専用レジなど新たな出費が必要になってくる中で、大手の小売店まで対象にすることは、あまりに不公平です。

 「還元」するポイントの原資は、カード会社など決済事業者に対して国が補助することになっています。「還元」されたポイントを消費者が使わなければ、補助金が丸々、決済事業者の懐に転がり込むことになります。中小企業対策どころか、カード会社などを喜ばせる仕組みは大問題です。

世論調査でも反対が多数

 プレミアム付き商品券の発行も、現金で買う分が商品券に置き換わるだけで、「消費減対策」の効果には疑問が続出しています。

 日本商工会議所(日商)や日本チェーンストア協会なども「軽減」税率導入などに反対しています。世論調査でも増税はもちろん、混乱を拡大する複数税率やポイント還元に反対する声が多数です。

 政府の統計不正は消費税増税の前提を崩しています。混乱を広げる消費税増税は中止すべきです。消費税に頼らない財政・税制へ道を開くことが必要です。


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