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2019年2月21日(木)

はやぶさ2 あす初着陸挑む

牙むくリュウグウ 試料採取なるか

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機はやぶさ2が21日、小惑星リュウグウへの降下を開始し、順調なら22日午前8時ごろに1回目の着陸・試料採取に挑みます。14年前の初代はやぶさの着陸では2回とも試料採取装置が作動せず、人類が初めて手にした小惑星物質は着地の衝撃で舞い上がった“幸運の産物”でした。今回、はやぶさ2は着陸・試料採取を計画通り遂行し、三度目の正直となるか―。予想を超える困難を前に探査チームは燃えています。(中村秀生)

 リュウグウが牙をむいた―。危険な岩が多いことが判明し、昨年10月に予定していた着陸の延期を余儀なくされた探査チーム。訓練を重ね詳細な立体地形図をつくって戦略を練り直し、今月6日、着陸の目標地点を絞り込みました。責任者の津田雄一JAXA准教授は「リュウグウの厳しい環境、牙の形状が分かってきた。どう対処すればいいか、攻略の仕方が分かった」と宣言しました。

難易度↑

 しかし着陸目標はわずか直径6メートルと狭く、中心からの誤差を3メートル以下に抑える着陸精度が必要です。初代はやぶさと同じ着陸精度50メートルで十分だと考えた当初と比べて、難易度は格段にアップします。

 探査チームは、昨年の降下訓練で投下した着陸の目印「ターゲットマーカ」(TM)からの相対位置を指定することで、約5メートル離れた目標地点への着陸をめざす方式を採用。岩石の分布が把握できたので、地形に垂直な姿勢で着陸する計画を変更し、ごつごつした岩が少ない西側に傾く姿勢をとって安全性を高めることにしました。

 探査機の大きさ、岩の一つひとつも考慮する必要がある想定外の事態に直面した探査チーム。着陸を延期して地形・重力データの検討を深め、操縦の腕を磨いたことにより、着陸精度を2・7メートルまで高められたと自信を深めています。

自律判断

 計画では、21日午前8時ごろ高度20キロメートルの観測基点から秒速40センチメートルで降下を開始。途中で減速して22日午前7時ごろ高度45メートルまで到達し、その高度でTMを捕捉します。視野の中心でTMを追尾しながら降下し、TMの直上8・5メートルでホバリング(停止飛行)。着陸姿勢に傾けた後、TMを視野に入れながら数メートル水平移動。最終調整の後、目標地点に向けエンジン噴射し秒速10センチメートルほどで着地します。

 探査機の下部からは長さ約1メートルの円筒形の試料採取装置が突き出ており、着地の瞬間、小惑星表面に5グラムの弾丸を発射。舞い上がった岩石破片を容器に収め数秒で上昇します。

 リュウグウは現在、地球から3億キロメートル以上離れています。地球との通信に片道19分かかるため、地球からの指令が間に合わない低高度では、探査機自身が自律的に判断して降下・着陸します。何らかの異常を察知したときは緊急上昇して安全を確保。再挑戦も視野に“用心深く”設定されています。

 津田さんは「思いは熱いまま、頭は冷たく保ち、計画にそってきちんとやりたい」と話しています。

 はやぶさ2は最大3回の着陸・試料採取を計画。2回目以降には衝突装置で人工クレーターをつくり、宇宙風化が進んでいない地下の新鮮な物質の採取にも挑みます。今年末ごろにリュウグウを出発し、来年末ごろ試料の入った帰還カプセルを地球に届けます。


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