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2019年2月9日(土)

きょうの潮流

 よりロボット化した「鉄腕アトム」、イケメンの「ブラックジャック」、不気味さが増した「どろろ」。いま手塚治虫の作品が次々によみがえっています▼月刊マンガ『テヅコミ』の発刊、新作アニメや映画。新しい書き手によって絵やストーリーが現代風にアレンジされ、登場人物に時代の息吹が込められています。きょうで没後30年となりますが、その作品は色あせるどころか、斬新な発見や出合いに満ちています▼日本漫画の発信地、京都国際マンガミュージアム。仏師が彫刻した巨大な「火の鳥」がシンボルとして飾られ、国内外から訪れる人びとを出迎えます。館内では子どもからおとなまで手塚漫画を手に取り、熱心に読んでいました▼「手塚作品を貫くヒューマニズムや生命の尊さ、自然や科学への敬いは普遍的なテーマ。だから古びない」。博物館の運営に携わる京都精華大マンガ学部の吉村和真教授はいいます。漫画は共通の言語といわれるが、彼のそれには世界をつなぐ魅力があると▼人生観や体験を反映し、平和や人権にも敏感でした。「とにかく、地球、あるいは生物、あるいは全人類みたいなものを、なぜもっとかえりみないか、そういうテーマでずっと描きつづけているんです」(『ぼくのマンガ道』)▼人間や命の本質に迫ろうと新しい表現に挑みつづけた“マンガの神様”。作品から引き出せる遺産は尽きず、世代をこえて受け継がれています。そして、いまも私たちに訴えてきます。限られた命をどう生きるのかと。


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