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2019年2月5日(火)

私の情報 私のもの

権力に監視された被害者 大垣警察事件

Tカード・辺野古…「規制が必要」

 本人の知らないところで警察など公権力が個人情報を収集する事態が相次ぎ発覚しています。こんな中、実際に監視を受けた被害者らは「私の情報は私のもの。公安警察に私の情報を集められたくない」と訴えています。


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(写真)風力発電所の建設予定地がよく見える場所で語り合う松島さん(左)と船田さん=2018年12月、大垣市上石津町

 「電力会社への情報提供が問題だと思っていたが、それよりも公安警察に監視されたことが問題だと最近、強く感じる」

“危険人物”に

 そう話すのは、岐阜県大垣市上石津町の住職、松島勢至(せいし)さん(66)です。大垣警察市民監視事件の被害者で、現在、県と国を相手に損害賠償と収集された個人情報の抹消を求めて裁判をたたかっています。

 大垣警察署の警備課員らは「風力発電にかかわらず、自然に手を入れる行為自体に反対する人物」などと松島さんらの個人情報を電力会社に伝えていました。

 松島さんは「公安警察は、集めた僕の情報で『松島はこういう人物や』と決めつけ、反対する住民を“危険人物”にしている。それは僕の生き方の否定だし、警察に決められたくない」と語気を強めます。

 今年に入っても、警察などの捜査機関が令状なしでTカードの個人情報を入手していることや、警備会社が国の依頼で辺野古の新基地建設に反対する市民のリストを作っていたことが報じられました。

 被害者の船田伸子さん(62)は「集めた個人情報をもとにつくったリストを警察などが、どう使っているか示したのが大垣の事件だと思う。独り歩きした個人情報が市民の分断に使われていた」といいます。

違法性を問う

 2017年3月に岐阜地裁で始まった裁判。原告の4人は、公安警察が法律上の根拠や明確な目的のないまま、市民の個人情報を収集することの違法性を正面から問うています。昨年12月の口頭弁論では「自分のどの個人情報をどれくらい、いつ誰に提供するかは、本人が決めることが基本。公安警察に自分の個人情報を提供したいと考える人はいない」と主張しました。

 船田さんは「犯罪と無縁な個人情報を警察が、法的根拠もなく無秩序に集め、勝手に利用している社会は気味が悪い。警察の情報収集に規制をかけることが必要だ」と語ります。


 大垣警察市民監視事件 中部電力の子会社が計画する風力発電所について勉強会を地元で開いた三輪唯夫さんと松島さんの個人情報を岐阜県警大垣署の警備課課長らが同社に伝え、住民運動つぶしの相談をした事件。4回の相談では地元住民でもなく運動と無関係だった近藤ゆり子さんと船田さんの2人も“メンバー”として、大垣署が情報を提供していました。子会社作成の議事録が14年に報じられ、事件が明るみに出ました。

写真

(写真)電力会社が作成した大垣署員との打ち合わせ議事録の一部。松島さんについて「自然に手を入れる行為自体に反対する人物」と署員が発言したことが記されています


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