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2019年1月29日(火)

太陽系の最果てに小天体の“影”観測

史上初の成功

 太陽系の最果て「エッジワース・カイパーベルト」にある、すばるなど大型望遠鏡でも直接観測できないほど小さな天体の“影”をとらえることに、京都大学、国立天文台など小型望遠鏡を使った観測チームが史上初めて成功しました。惑星の材料「微惑星」の生き残りと推定され、太陽系の誕生や彗星(すいせい)の起源の謎を解くヒントになる発見だといいます。

 論文は28日付の科学誌『ネイチャー・アストロノミー』(電子版)に掲載されました。

 エッジワース・カイパーベルト(EKB)は、海王星の軌道(太陽から45億キロメートル)の外側に広がる、多数の天体が円盤状に分布する領域。確認されている約2000天体の典型的な大きさは半径100キロメートル、最小の天体でも15~30キロメートルです。

 70年前に提唱された仮説で、太陽系の遠方から飛来する彗星の供給源として、EKBに同1~10キロメートルの微惑星が多数存在すると考えられてきましたが、暗いため未発見でした。

 今回、口径28センチメートルの市販の小型望遠鏡に高速ビデオカメラを装着した観測システムを2台、沖縄・宮古島に設置。いて座の一角で輝く約2000の恒星の明るさを約60時間観測し、一つの恒星が0・2秒間、最大で80%減光したのを発見しました。解析から、地球から50億キロメートル離れた半径1・3キロメートルの小天体が恒星の手前を横切ったと結論づけました。

 競合する国際プロジェクトの300分の1規模という破格の低予算(総額350万円)で発見できたことについて有松亘(こう)京大研究員は、少年時代からのアマチュア天文観測の経験が生きたと強調。「宮古島の人たちの協力が大きかった。沖縄に明るいニュースが提供できてよかった」と話しました。


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