2019年1月29日(火)
きょうの潮流
ぼくは日本人である前に“人”。本欄でも紹介しましたが、サッカーの本田圭佑選手が昨年、朝鮮学校を訪れた後のインタビューでこんな言葉を残しています▼「何人であるかを前面に表現するよりも、人としてどうあるべきかを表現することが最も大事なこと」。世界を舞台にしている人には国境をこえた視点を感じることが多い。国を背負うのではなく、ひとりの人間、個としての能力が試されるからでしょうか▼テニスの全豪オープンで優勝した大坂なおみ選手が世界ランキングで1位になりました。全米につづく四大大会の連覇。他を圧倒するパワーと精神面の成長は「大坂時代の幕開け」と評されるほどです▼彼女が偉業を達成するたびにまとわりつく形容詞があります。日本人として初、アジア勢初…。しかし、これまでの歩みはそんな属性を超越しているかのよう。ハイチ出身の父と日本人の母をもち、生まれは日本ながら3歳で米国に移住。10代でプロになって世界各地を転戦しています▼いま大坂選手の国籍が取りざたされています。現在は日本と米国の二重国籍ですが、法律では今年の誕生日までに選択しなければならないと。東京五輪を前に周りも騒がしい▼どちらを選ぼうが、尊重すべきは彼女自身の判断です。もっとも、無限の可能性を秘める21歳はそんな狭い枠にはとどまっていません。「好きなテニスを楽しんでベストを尽くす」。“大坂なおみ”がどんな頂に達するか。みずから開いた道のりは始まったばかりです。








