しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年1月29日(火)

主張

首相施政方針演説

詭弁弄しても破綻は隠せない

 政権復帰から7年目に入った安倍晋三首相の施政方針演説を聞きました。毎年の初めに、首相が政治の基本方針を明らかにするものですが、今年は例年にも増して新味がありません。大問題になっている毎月勤労統計調査の不正・偽装問題は「おわび」や「検証」で片付け、「アベノミクスは今なお、進化」だの、「戦後日本外交の総決算」だのと、抽象的な言葉を重ねます。「平成の、その先の時代に向かって、日本の明日を切り開く」といっても展望は示せず、改憲についてだけは「憲法審査会の場において、議論が深められるのを期待」と、あくまでも固執します。

統計不正・偽装に無反省

 勤労統計の偽装は、国政の根幹を揺るがす重大事態で、首相の「おわび」の一言で片付くような話ではありません。

 不正や誤りがあった政府の基幹統計は23にも及び、「アベノミクス」の「成果」などについての、これまでの政府の説明が、根底から疑われます。厚生労働省の調査は“お手盛り”が明らかになり、再調査に追い込まれました。雇用保険や労災保険などの過少給付に対策をとるのは当然ですが、いつからだれが何のために、偽装を続けたのか、事務方だけでなく、大臣などの責任はないのか、徹底して調査すべきです。首相演説には、真剣な反省も、誠意も全く感じられません。

 安倍政権の経済政策、「アベノミクスは今なお、進化」といいますが、その根拠に挙げるのは、都合のいい数字ばかりです。経済は「成長」、税収は「過去最高」などと自慢しても、肝心の国民の暮らしが悪化を続けていることには、目をふさぎます。偽装が発覚して再集計した勤労統計の修正値も、昨年1~11月の現金給与総額は前年に比べ伸びゼロです。2014年の増税後、消費不振は続き、消費支出は年間25万円も落ち込んでいます。どんなに詭弁(きべん)を弄(ろう)しても、通用しません。

 首相がそれにもかかわらず、「十二分な対策」をとるからと、今年10月からの消費税率の10%への引き上げに「ご理解とご協力を」と主張したのは論外です。

 「総決算」するという外交も、「わが国の外交・安全保障の基軸は、日米同盟」と明言するように、アメリカべったりを解消するものではありません。経済外交ではアメリカとの交渉を「進める」、沖縄の基地問題では、米軍普天間基地の「辺野古移設を進め」るというなど、これまでと変わりません。力を入れてきたロシアとの領土交渉も、「加速」とのべるだけで、打開の道は示せません。「総決算」とは全くの“偽装”です。

 政治をゆがめ、私物化した「森友」や「加計」問題に言及がないのは、国民無視の異常な姿勢です。

一日も早い退陣こそ

 首相は演説の中で、「平成の、その先の時代に向かって」という言葉を7回も繰り返しました。安倍首相が長期政権で目指すのは「戦争する国づくり」です。首相が憲法9条に自衛隊を書き込む改憲を持ち出し、憲法尊重擁護義務も三権分立の原則も踏みにじって、国会の憲法審査会での「各党の議論」を求めているのはそのためです。

 世論で追い詰め、統一地方選・参院選で厳しい審判を下し、一日も早く安倍政権を退陣させることこそ、未来を開く最良の対策です。


pageup