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2019年1月28日(月)

群馬・高崎 メガソーラー施設周辺

鉛5540倍、カドミウム118倍検出

共産党県議団と住民団体が調査

 群馬県高崎市内のメガソーラー施設の土壌から、鉛やカドミウムなど有毒な重金属が、自然界に通常存在する量と比べて極めて多くの量が検出されたことが、日本共産党県議団と住民団体の調査で27日までに明らかになりました。分析した専門家は「仮に子どもが口にしたら障害が起きてもおかしくない」と懸念しています。


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(写真)スラグと思われる土壌を見上げる(左から)伊藤県議ら=群馬県高崎市

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(写真)施設から外にむき出しになっている、スラグと思われる塊=群馬県高崎市

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(写真)スラグの影響か、草が1本も見当たらない太陽光施設=群馬県高崎市

 重金属が検出されたのは、株式会社岡田工務店(高崎市箕郷=みさと=町)が運営する太陽光発電設備「松之沢発電所」(同市)周辺。共産党県議団と「有害スラグの撤去を求める会」(永井正取事務局長)が東京農工大学の渡辺泉教授に同発電所に隣接する4カ所から入手した土壌の分析を依頼したところ、自然界に存在する量を1とみなすEF(エンリッチメント・ファクター=濃縮係数)値で最大、鉛5540倍、カドミウム118倍、アンチモン6980倍が検出されました。

 鉛は微量でも体内に取り込むと神経障害が懸念され、カドミウムはイタイイタイ病(三井金属鉱業)や安中公害(東邦亜鉛)の原因物質として知られています。

 共産党が昨年12月の県議会でこの問題を追及すると、県は「(スラグの)製造元も含め、立ち入り調査や報告聴取など事実関係の全貌を調査中」と答弁しています。

 岡田工務店が工事した「みさと芝桜公園」(同市)からもスラグが不正使用され、党県議団の調査によると環境基準の60倍を超す鉛が検出されています。

 現地を視察した共産党の伊藤祐司県議は「施設の土台は数万トンのスラグで造成したと思われる。運転開始から何年もたつのに地面に草が1本も見当たらないのは異常だ」と指摘しています。

 会の永井事務局長は「このメガソーラーをつくった会社は、自ら工事した道路や駐車場から環境基準を超す鉛が検出され、行政から土壌を撤去させられた会社。どこからスラグを仕入れたのか明らかにし、その企業にも責任をとってもらいたい」と語りました。

 スラグの仕入れ先や今後の対応について同社に問い合わせましたが、25日までに回答はありませんでした。



 スラグ(鉱さい) 金属鉱石を製錬する過程で分離される不純物や添加物。


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子どもへの影響懸念

東京農工大学教授(環境資源科学) 渡辺泉さん

 今回分析したサンプルは、毒性が懸念される重金属が軒並み高いのが特徴です。どこから排出されたスラグなのか現時点では断定できませんが、亜鉛や鉛の製造過程で出てきたのではないかと思われます。

 分析手法のEF値は、国際的な学術会で使用されている最もポピュラーな指標です。EF値で5を超えると「明らかな汚染」、40を超えると「極めて強い汚染」です。それが鉛で1000を超えるとか、ありえない異常な汚染状態です。

 鉛は、世界でトップレベルの危険物質と考えられ、オバマ前米大統領が、水道に混入している疑いがあるということで非常事態宣言を出したほどです。微量でも子どもの知能低下やメンタルに影響を与える可能性が高く、特に成長期の子どもたちへの影響が懸念されます。

 腎機能障害を起こすカドミウムは、水溶性が高く、人体に取り込まれる恐れがあります。


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