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2019年1月24日(木)

主張

辺野古の軟弱地盤

やみくもな新基地建設断念を

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設で、防衛省沖縄防衛局は埋め立て予定海域の大浦湾に存在する軟弱地盤の改良工事のため、今春にも設計変更に着手する方針を固めています。設計変更には県知事の承認が必要ですが、玉城デニー知事は新基地建設反対の民意に応えたいと確固たる決意を繰り返し表明しています。一方で、沖縄防衛局は3月25日から新たな区域で土砂投入を開始することを県に通知しました。埋め立て工事が完成する見通しがないにもかかわらず、土砂投入をやみくもに続けることには何の道理もありません。

極めて姑息で卑劣な手法

 軟弱地盤の存在は、昨年3月、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員らが入手した沖縄防衛局の地質調査報告書で明らかになりました。それによると、水深30メートルの海底に厚さ40メートルものマヨネーズ状の軟弱地盤が広がっています。同防衛局は当初そこに埋め立て用の護岸を造るためコンクリート製の巨大ケーソン(箱)を設置する計画でした。しかし、地盤沈下の恐れなどから大規模な改良工事は不可避です。

 岩屋毅防衛相も22日の記者会見で「可能性としては軟弱な地盤があり得る。どのような工法が最も適切か判断し、必要な手続きを適正に取る」と述べ、地盤改良のための設計変更を沖縄県に申請する考えを示唆しました。

 軟弱地盤の存在を示す沖縄防衛局の地質調査報告書は2016年3月にまとめられています。政府は、その時点で軟弱地盤の存在を認識していたはずです。沖縄県は昨年8月に仲井真弘多元知事による埋め立て承認を撤回した際の大きな理由として軟弱地盤の存在を挙げていました。同年10月に就任したデニー知事は、地盤改良工事が実施されれば、新基地完成までに最低13年、建設費は最大で当初の計画の10倍以上の2兆5500億円に膨らむと指摘し、工事の断念を求めていました。

 地盤改良工事による環境への影響も甚大で、環境影響評価の前提も成り立たなくなります。

 しかし、政府はこれまで軟弱地盤の存在を認めようとせず、昨年10月に県の承認撤回を執行停止にし、12月には土砂投入を強行しました。既成事実を重ねて県民の諦めを誘った上で、軟弱地盤の存在を認めて設計変更に着手するという極めて姑息(こそく)で卑劣な手法です。

 しかも、軟弱地盤の存在でいよいよ工事の見通しが立たないのに、沖縄防衛局が現在埋め立てているのとは別の区域で新たな土砂投入を始めようとしているのは重大です。加えて、大浦湾側でサンゴの移植をしないまま新たな護岸の建設に着手するとも報じられています。乱暴の極みに他なりません。

 工期も、総工費も、環境への影響も示さず、工事を強行することは決して許されません。沖縄の地元紙が「工事止め国会で検証を」(沖縄タイムス23日付)「工事を止めて説明せよ」(琉球新報同日付)と求めているのは当然です。

全国世論調査で6割反対

 安倍晋三政権による土砂投入の強行に対しては、県内ばかりでなく全国で批判の声が広がっています。最新の世論調査でも土砂投入に「反対」は58%に上っています(「朝日」22日付)。辺野古埋め立ての是非を問う県民投票の成功をはじめ、沖縄のたたかいに全国が連帯することが必要です。


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