しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年1月15日(火)

きょうの潮流

 親が何といおうと、やることはやる。欲しいものは欲しい。嫌なものは嫌。おてんばで自由奔放な少女だったといいます▼演劇と出合ったのは中学生の頃。そこで顧問の先生から「みんな違っていいんだ、一人ひとり輝けばいい」と教わります。自分も大事、あなたも大事と互いを認め合い、みんなでつくる喜びを知り、のめり込んでいきました▼幅広い舞台と役柄で活躍した市原悦子さんが亡くなりました。長くお茶の間に親しまれた「家政婦は見た!」や「まんが日本昔ばなし」では、不条理な世にあらがう反骨心、自然の中で小さな人間が一日一日を大切に生きていくことを伝えました▼俳優座時代に千田是也さんからいわれた「せりふを言いくるめるな」を胸に刻み、人間の複雑な内面を語ろうと努めてきました。「昔ばなし」でコンビを組んだ常田富士男さんは生前「市原さんは遊んでみせる精神が非常に強い人。表現を楽しんでいる」▼戦争体験と戦後の食糧難が原点。本紙日曜版にも登場し、安倍政権の集団的自衛権の行使や改憲、沖縄の基地問題や原発政策に反対の声をあげてきました。「理不尽な社会を思うたびに腹が立ち、少しでも、弱い人や恵まれない人の味方になりたい」▼樹木希林さんにつづき、人の深みを感じさせる役者がまたひとり。「食べることができて、殺し合うこともなく、自然の移り変わりの中で、穏やかに生きて土に還(かえ)っていければいい」。その言葉のまま、自由と心の豊かさをもとめた82年の人生でした。


pageup