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2019年1月7日(月)

きょうの潮流

 私たちが食べた後に口にする「ごちそうさま」には、韋駄天(いだてん)が関わっていた―。NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる」で取り上げられていました▼なんでも古代インドの神だった韋駄天は足の速さを生かし、人びとのために走り回って食べ物を集めていたとか。ごちそうさまは漢字で御馳走様。馳走は走り回る意味で、その韋駄天の姿から食べ物を工面してもてなすことを「馳走」というようになったと▼諸説あるそうですが、江戸時代には食への感謝を込めて「ごちそうさま」とあいさつするようになり、定着していきました。韋駄天ほどではありませんが、今の世もおいしい食べ物を求めて全国を探し回る人があふれています▼テレビではグルメ番組が盛んに流され、ネットでも食の情報はまん延。おいしい物を食べたいという人間の欲求は食文化を発展させてきました。しかし快楽をむさぼるための美食や飽食は、消費社会と相まって過剰な欲望の世界をつくっています▼マグロ1匹が3億円以上で競り落とされ、1度の食事に大枚をはたく。食べ放題や飲み放題も。一方で農畜産に携わる多くの人が立ち行かず、日々の食事さえままならない貧困層が広がります。世界では食料格差や食品ロスが大きな問題になっています▼人間にとって欠かせない食。それを単なる消費財、モノ扱いする社会を根っこから正そうという草の根からの運動も各地で起きています。人日(じんじつ)の節句に七草がゆを食べながら、食のありように思いをめぐらせたい。


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