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2019年1月1日(火)

核兵器禁止条約 発効の年に

草の根の力 止まらない

 人類史上初めて、核兵器を違法なものと定めた核兵器禁止条約に各国が署名を開始して1年3カ月、批准国は19カ国、署名国も69カ国に上っています(2018年12月27日現在)。同条約は、50カ国目が批准すれば90日後に発効するよう定められており、今年中にもそれが実現することへの期待も高まっています。また同条約を否定する日本政府の態度を転換させることもますます重要な課題となっています。

日本政府の政策転換を

写真

(写真)「ヒバクシャ国際署名」への協力を呼び掛ける推進連絡会の被爆者ら=18年11月20日、広島市

 「核兵器を世界から取り除く、具体的な進展をはかる時は来た。共通した目標にむけあなた方と取り組む強い決意を表明する」

 国連のグテレス事務総長は18年9月26日にニューヨークの国連本部で開かれた「核兵器廃絶国際デー・ハイレベル会合」で高らかに述べました。同日には核兵器禁止条約の署名・批准書提出式も開かれました。

 世界の草の根の運動は、核保有国とその同盟国を含め各国で、自国政府に禁止条約に加わるよう求めて運動を繰り広げています。

米国に広がる

 そのうち、核大国の米国では、東部メリーランド州タコマパークの市議会が3月、禁止条約の順守を宣言する決議案を全会一致で採択したのを皮切りに、大都市を含む自治体レベルで決議採択が相次ぎ、8月にはカリフォルニア州議会が州レベルとして初めて、核兵器禁止条約を支持する決議を上げました。

 全米の約1400都市の市長が参加する全米市長会議は6月、米トランプ政権に対し、禁止条約に対する態度を改め、同条約を支持するよう促す決議を全会一致で採択しています。

世界の多数派

 禁止条約の発効を求めるこうした世界の声に、核保有5大国(米ロ英仏中)は追い詰められ、巻き返しを図ろうとしています。5大国は10月22日、核兵器禁止条約に反対する共同声明を発表。条約に「拘束されない」し、「新たな基準や規範を設けるものではない」と強弁しました。

 しかし、第73回国連総会は12月5日、核兵器禁止条約をできるだけ早期に署名・批准するよう、すべての国に呼び掛ける決議案を賛成126、反対41、棄権16の賛成多数で採択しました。

 草の根の力に支えられ、核兵器禁止条約の発効を目指す流れはもはや止めることはできません。


核兵器禁止条約(要旨)

 【前文】

 一、核兵器の使用がもたらす破滅的な人道的結果を深く憂慮。核兵器完全廃棄は、核兵器が二度と使用されないことを保証する唯一の方法。

 一、核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)と核実験被害者の容認しがたい苦難と損害に留意。

 一、核兵器の使用は、国際法、特に国際人道法の原則と規定に反していることを考慮。

 一、核兵器の法的拘束力を持つ禁止は、核兵器のない世界の実現と維持への重要な貢献となることを認識。その目的のために行動することを決意。

 一、核兵器完全廃絶を進める市民的良心の役割を強調。そのための国連、非政府組織、ヒバクシャなどの取り組みを認識。

 【1条】禁止事項

 (a)核兵器の開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵。

 (b)核兵器の移転。

 (c)核兵器の受領。

 (d)核兵器の使用、使用の威嚇。

 (e)条約で禁止された活動の援助、奨励、勧誘。

 (f)条約で禁止された活動についての援助の要請、受け取り。

 (g)自国領域・管理地域での核兵器の配置、設置、配備の許可。

 【4条】核兵器完全廃絶に向けて

 核兵器を保有する締約国は、直ちにそれらを運用態勢から撤去し、廃棄計画に基づき破棄する。

 【6条】被害者援助と環境回復

 核兵器使用・実験の影響を受けた諸個人を援助する。

 【7条】国際的協力および援助

 核兵器を使用・実験した締約国は被害を受けた締約国を支援する。


■批准国(2018年12月27日現在、19カ国)

 ガイアナ、バチカン市国、タイ(17年9月20日)

 メキシコ(18年1月16日)

 キューバ(1月30日)

 パレスチナ(3月22日)

 ベネズエラ(3月27日)

 パラオ(5月3日)

 オーストリア(5月8日)

 ベトナム(5月17日)

 コスタリカ(7月5日)

 ニカラグア(7月19日)

 ウルグアイ(7月25日)

 ニュージーランド(7月31日)

 クック諸島(9月4日)

 ガンビア、サモア、サンマリノ、バヌアツ(9月26日)

■署名国(同日現在、クック諸島を除く批准国を加え69カ国)

 アルジェリア、バングラデシュ、ブラジル、カボベルデ、中央アフリカ、チリ、コモロ、コンゴ、コートジボワール、コンゴ民主共和国、エクアドル、エルサルバドル、フィジー、ガーナ、グアテマラ、ホンジュラス、インドネシア、アイルランド、キリバス、リビア、リヒテンシュタイン、マダガスカル、マラウイ、マレーシア、ネパール、ナイジェリア、パナマ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、サントメプリンシペ、南アフリカ、トーゴ、ツバル(17年9月20日)、ラオス(9月21日)、ジャマイカ、ナミビア、セントビンセント・グレナディーン(12月8日)、ボリビア(18年4月16日)、カザフスタン(3月2日)、ドミニカ共和国(6月7日)、コロンビア(8月3日)、アンティグア・バーブーダ、ベナン、ブルネイ、ギニアビサウ、ミャンマー、セーシェル、東ティモール(9月26日)、アンゴラ、セントルシア(9月27日)


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