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2018年12月28日(金)

主張

GAFA

規制と課税の新機軸が必要だ

 強大な経済的権力を持つに至った米IT(情報通信)企業の不適切行為、違法行為が世界で問題になっています。とりわけグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4大企業は頭文字をとって「GAFA(ガーファ)」と呼ばれ、議論の的となっています。

プライバシー情報を蓄積

 GAFAは検索サービス、スマートフォン製造、インターネット交流サイト(SNS)、ネット通販などの分野で独占的・寡占的な地位を築きました。インターネットを活用した斬新な製品やサービスで消費者と事業者の便益を高めた側面があるのは事実です。

 しかし、その裏で競争条件を不公平にゆがめ、人権を侵害する行動をとっていることは看過できません。巨額の税逃れ、個人情報の不適切な扱い、取引業者への不利益の強要、過酷な労働環境が次々に明るみに出ています。

 問題は、インターネットを使った新たな業態に既存の法律や条約が対応しておらず、規制と課税が十分に及んでいないことです。

 グーグルとフェイスブックの主な収入源は広告です。利用者の興味に応じて表示する手法(ターゲティング広告)で広告効果を向上させ、世界中の企業から膨大な広告収入を得ています。利用者の興味を把握できるのは検索履歴、位置情報、通信データなどの個人情報をどん欲に取得し大量に記録しているからです。利用者は「無料」のサービスと引き換えに、詳細なプライバシー情報を売り渡すことを余儀なくされています。蓄積した情報を総合すれば過去の言動や交友関係、趣味嗜好(しこう)、思想信条が丸裸になります。

 こうした重要な個人情報をフェイスブックとグーグルは相次いで流出させました。最大1億2千万人分以上の情報を流出させたフェイスブックは個人情報の扱い方が利己的だと批判を浴びています。

 またグーグルとフェイスブックはサービス拠点を海外に置いているため、まともに課税されていないと指摘されます。アップルとアマゾンも日本での売り上げが巨額ですが、日本でわずかな税金しか払ってきませんでした。

 米IT企業の無法なふるまいに危機感を燃やし、新たな規制や課税を矢継ぎ早に打ち出しているのが欧州連合(EU)です。EUの執行機関・欧州委員会は3月、巨大IT企業の売上高に3%の課税をするデジタル・サービス税を提案。EUは5月、個人情報保護を抜本的に強める「一般データ保護規則(GDPR)」の適用を始めました。欧州経済領域外へのデータ移転を原則禁止し、違反企業への厳しい行政罰を定めています。

企業情報の公開が重要

 日本でも財務省、経済産業省、公正取引委員会、総務省が巨大IT企業への課税と規制の仕組みづくりを検討しています。しかし日本政府の取り組みに欠落しているのが情報公開です。

 英国と米国の議会はアップルやグーグルなど多国籍企業の幹部を呼んでタックスヘイブン(租税回避地)を使った税逃れの構造を説明させ、公表しました。英議会はフェイスブックの個人情報の取り扱いに関して幹部の社内メールを調べ、発表しました。日本でも実情をつまびらかにし、実効性のある規制と課税の新機軸を打ち立てる必要があります。


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