2018年12月26日(水)
きょうの潮流
若い力の台頭、肉体の衰え、ブランク、ふりかかる困難…。目前の相手とともに立ちはだかる大きな壁に挑んだ三者三様のたたかいに感銘を受けました▼「実力が足りなかった」。将棋の羽生善治さんが27年ぶりに無冠となったニュースは衝撃でした。空前の通算タイトル100期がかかった竜王戦。七番勝負の最終局167手まで粘りましたが、ついに力尽きて▼19歳で初タイトルをとってから、七冠独占など30年近く将棋界をけん引してきた第一人者も48歳。体力や記憶力の衰えを覚えながらも、大局観や直感を磨くことで若手に対抗してきました。無冠にも「力をつけて次につなげたい」▼引退から一転、氷上の大舞台に5年ぶりに復帰したフィギュアスケートの高橋大輔選手。大歓声が注いだ全日本選手権で表彰台に立ちました。「改めて、試合っていいな」。もう一度自身のスケートを追い求めたいと、32歳の新たな挑戦です▼こちらは、残り10秒の大逆転でした。リオ五輪後の長いブランクから復活した女子レスリングの伊調馨選手。東京五輪につながる全日本の決勝で強豪に土壇場で勝利。その瞬間の感情の爆発は選手生命を脅かされた強化トップからのパワハラに対する明確なメッセージでした▼五輪4連覇の伊調選手は「まだまだ伸びしろがある」。3人に共通するのは過去の実績におごらず、謙虚に競技と向き合う姿勢。彼らの背は雄弁です。自分を信じてあきらめるな、困難に負けるな、より高みをめざして挑みつづけよ、と。





