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2018年12月25日(火)

中国、対米冷戦回避へ模索

カナダへは圧力 ファーウェイ事件

 米国の要求でカナダ当局が中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の副会長を逮捕した事件が波紋を広げる中、中国政府は同事件と米中貿易摩擦を切り離し、米中対話の継続に努めています。(小林拓也)


 中国商務省は19日、米中の次官級が電話で貿易問題を話し合ったと公表。20日には報道官が記者会見で、米中貿易問題の休戦に向けた閣僚級協議を来月にも実施すると発表しました。19~21日に開かれた中央経済工作会議では、1日にアルゼンチンで行われた中米首脳会談での共通認識を実行し、両国の経済・貿易協議を推進することを確認しました。

 10日付の香港経済日報は、中国共産党中央は対米戦略として、「対抗せず、冷戦にせず、市場を開放し、国家の核心的利益では譲歩しない」との方針を決めたと報道しました。

 中国政治や外交を研究する東洋学園大学の朱建栄教授は「中国は力を結集して、米中新冷戦への突入を回避する方針だ」と指摘。具体的方策として、▽技術や経済発展に関する大げさな宣伝を控え、米国を刺激しない▽両軍同士の偶発的衝突を防ぐ▽中国の経済構想「一帯一路」で、中国の関連企業が現地の環境や社会的責任を重視する―などを挙げました。

 一方、中国政府はカナダに対しては強硬な態度を続けています。ファーウェイ副会長の逮捕以降、中国当局は3人のカナダ人を拘束。このうち1人は不法就業ですが、ほか2人は報復措置とみられています。

 中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)副報道局長は17日の記者会見で、米国とカナダによるカナダ人の解放要求に「自分たちが法治とルールを守っていると過大評価しており驚きだ。現代の『裸の王様』に等しい」と強く批判しました。

 中国紙・環球時報(電子版)は16日、「他国の勢力に頼り中国の利益を侵害する国に代価を払わせる」と題する社説を掲載。カナダにとって中国は第2の貿易相手国だとして、カナダがファーウェイの副会長を米国に引き渡せば、「中国は実質的行動で、カナダが受ける深刻な結果を世界に示す必要がある」と強調しました。

 朱教授は「中国には、犬をたたいて、飼い主や他の犬に見せるということわざがある。カナダは『みせしめ』ということだ」と解説しました。


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