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2018年12月22日(土)

きょうの潮流

 「くっつきすぎ! 腕一本離れなさい!」。障害児学校高等部での回想シーンから、その劇は始まります。演じるのは、岐阜県内を中心に活動する「劇団・ドキドキわくわく」。知的障害や発達障害がある若者たちが参加しています▼男子と女子が、「腕一本離れる」のが規則だと指導する障害児学校が少なくありません。劇では、卒業後もこれをストレートに受け止める主人公、隆が好意を寄せる彩(あや)と触れ合いたい気持ちと、「犯罪者にはなりたくない」という思いの間を揺れ動くさまを描きます▼自分の体はいつでもどこでも触れていいけど、同意なしに相手の体に触れたらなぜダメか。隆は仲間たちとのかかわりの中で、少しずつ恋愛関係について学びます。「同意」はわざわざ言葉で確認しない。2人の距離は2人で決めるもの▼ある日、パーティーでフォークダンスをすることに。彩から「踊ってくれませんか」と手を差し出され、戸惑う隆。でも、彩の手を取り…。「俺、腕一本、越えたぞ!」▼障害者の性をタブー視する傾向の中、劇団は「愛と性」をテーマに活動。シナリオは劇団員の体験や具体的な言葉から生まれ、稽古しながら自分たちでつくりあげます。「腕一本」の規則が障害児学校だけの話だということも表現しています▼演劇活動を通して愛と性を学び、自己と向き合う劇団員。生きづらさや困難を抱え、人とのかかわりが苦手な人たちが、ゆっくりと豊かな関係を築いていく。その姿は、見る者をドキドキわくわくさせます。


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