しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年12月20日(木)

国会審議を身近に パブリックビューイングの取り組み(下)

社会は自分たちが決める

京都での工夫

写真

(写真)服屋の3階を借りて行った上映会=2日、京都市

 京都では、全国でいち早く国会パブリックビューイング(国会PV)に取り組むグループができました。工夫もしながら、さまざまな人が行動しています。

「これだ!」と

 「京都で国会パブリックビューイング」というグループで事務局をしている、皿倉のぼるさん(56)。京都市に住む放送作家です。ずっと政治について関心を持ち続けていましたが、「仕事も忙しくて、政治に関わってきませんでした」。

 何かやらないといけないと思っていた時、法政大学教授の上西充子さんのツイート「国会審議を街頭で見せたりできないですかね」を見ました。「『これだ!』って思ったんです」。すぐに知りあい2人に呼びかけ、今年8月に屋内で上映会を開きました。その後、河川敷や街頭などで上映を続け、現在はカフェやギャラリーなどの上映会にも取り組んでいます。

写真

(写真)国会PVの意義を語る、国会PV代表の上西さん(法政大学教授)=15日、名古屋市

 野外での上映で使用している機材は、ノートパソコンとスピーカーだけというシンプルでコンパクトなもの。「それぞれが身の丈に合った形で、続けることが大切だと思います。一番大切なのは楽しむことです」

 同じく京都では、立命館大学教授の飯田和敏さん(50)が「衣笠PV研究所」というグループをつくりました。

 「そこまで政治に関心はなかった」という飯田さんが変わったのは2015年の安保法制でした。「当然だと思っていた平和と民主主義が壊されると感じた。国会前抗議にも駆けつけました」。それから国会をよく見るように。「でも、議論を聞きながらずっと一人で怒っているだけでした」

 8月、市内で国会PVの上映会があることをインターネットで知り、思い切って一人で参加しました。「今の政治のおかしさについて、自分と同じ気持ちの人がたくさんいて、すっきりした。9月に参加した大阪・梅田での交流会には、立命館の学生もいてうれしかった。この感覚が大切だと思った」といいます。学生や教員らでグループをつくりました。

 「国会PVを気に入ったのは、『とにかく国会をそのまま見る』ということ。どのように感じて、行動につなげるかはその人それぞれでいい。これからの社会をどうするかは自分たちで決められる」

 「京都で国会パブリックビューイング」などは2日に、京都市にあるセレクトショップ「チキンノット」の3階で国会PVの上映会を開催。ツイッターを見て参加したという京都市の男性(49)は、「国会を見ていても、与党が何を話しているのかわからなかった。解説がついているととても分かりやすい。この取り組みがもっと広がってほしい」と話しました。

写真

(写真)上映には欠かせない、看板やプロジェクター、バッテリー。柿の種も置かれています=15日、名古屋市

咲け「柿の種」

 ツイッターなどで「国会パブリックビューイング」(国会PV)と検索すると、札幌や長崎など、各地で取り組みが行われている様子がわかります。

 名古屋の貸会議室で15日、上映・交流会が行われました。主催は国会パブリックビューイング。およそ20人が参加し、同会代表の上西充子さん(法政大学教授)も参加。国会審議についての意見交換や、国会PVを実践するにあたって必要な機材や注意点なども話しあわれました。

 安保法制のころから政治を考えるようになったという愛知県岡崎市に住む女性(42)は、今の政治のおかしさをどうやったら周りに伝えられるか悩みながら参加したといいます。「国会PVは、宣伝やデモとはまた違った印象で新鮮でした。自分にもできるかわかりませんが、名古屋でもこうした取り組みが広がってほしい」と話しました。

 国会PVの上映会では、お菓子の「柿の種」がよく配られています。応援していただいた方からのいただきものだと話す代表の上西さんは、国会PVが「種」のように各地に広がっていく姿とも重なって配布をしているといいます。

 「この活動が各地に広がり花が咲いて、またその場所から種が飛んで広がっていく。もし、みなさんの近くで国会PVが行われていて『柿の種』が配られていたら、ぜひ持ち帰って、何らかの形で咲かせていただきたい」(おわり)


pageup