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2018年12月15日(土)

「消費税10%ストップ!ネットワーク」結成

学者・ジャーナリスト・著名人ら

一点共闘よびかけ

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(写真)「10月消費税10%ストップ!ネットワーク」の結成を記者会見で発表する呼びかけ人の6氏。左から有田、本田、醍醐、住江、庄司、斎藤の各氏=14日、衆院第2議員会館

 安倍内閣が来年10月実施をねらう消費税10%の中止を求める「10月消費税10%ストップ!ネットワーク」(略称、10%ストップ!ネット)が結成され、14日、呼びかけ人が東京都内で記者会見しました。

 各界の著名人ら10氏(別項参照)が呼びかけたもので、会見で「格差と貧困が拡大しているもとで消費税が引き上げられれば、国民生活は大変な影響を受ける」と強調。幅広い政党、団体・個人に「来年10月の増税中止」の一点で共闘を呼びかけました。

 呼びかけ人を代表してあいさつした全国保険医団体連合会の住江憲勇会長は、実質賃金も伸びず家計消費も低迷するなかで、「これ以上の増税は許せないという国民の怒りが渦巻いています。その声を形にしていく国民的な運動が必要です」と指摘。2014年に消費税が8%へ引き上げられた後、世論と運動で2度、10%増税を延期させてきたことにふれ、「今回も、そうした大きな世論をつくりたい」とのべました。

 10%中止の賛同を国会内外で広げる活動を展開し、各政党にも呼びかけた街頭宣伝や集会、国会議員要請などを計画。「2019年10月からの消費税10%中止を求める」国会請願署名を行うことも発表しました。

記者会見の発言

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 「10%ストップ!ネット」の設立会見には呼びかけ人から6氏が参加し、消費税10%に反対し、中止を求めると語りました。各氏の発言を紹介します。

増税は許さない 全国民的な声に

全国保険医団体連合会会長 住江憲勇さん

 国民の各分野で、今の消費不況の中で増税は許されないという声が渦巻いています。これを全国民的な声にする運動が必要です。

 医療の現場では、受診抑制・治療中断の事例が広がっています。生活保護受給者や非正規労働者も依然として厳しい状況です。

 2%の増税で4・5兆円の税収増といいますが、どれだけばく大な「経済対策」がもくろまれていることか。本末転倒であり、何としてもストップをかけなければいけません。

許せないのは弱いものいじめ

ジャーナリスト 斎藤貴男さん

 今回の増税は絶対にやめるべきです。一番許せないのは弱いものいじめの税制だということです。

 補助金や「軽減税率」の対象をめぐり、利権構造ができていることも恐ろしい。どれを優遇するか恣意(しい)的に決められ、抹殺もできてしまう税制だからです。「軽減」を求める業界にカネを求め、新聞には(報道の)中身を求める。新聞は批判できなくなるのではないか。ジャーナリズム業界の人間として一番の懸念です。

「複数税率」で現場は混乱する

全国FC加盟店協会会長 庄司正俊さん

 会員にはさまざまな議論がありますが、本協会としては10%増税は中止せよという見解です。「軽減税率」の名の複数税率で現場は混乱するだけです。

 お客さんがレジで「家で食べる」と言ってカップ麺とコーヒーを買い、カップ麺を店内で食べた場合、それぞれの税率はどうなるのか。こういう話がどんどん出てきます。

 人手不足のなか全商品の値札を一日で貼り替えないといけないのも、とんでもない話です。

「軽減」いっても効果は少ない

東京大学名誉教授 醍醐聰さん

 増税の景気対策で行う「軽減税率」は、世帯によって負担の仕方が違います。外食の割合は、単身が総世帯の4~5倍。外食か家庭食かで分けると大きな負担の差が出ます。

 「軽減」といってもその効果は、2人以上世帯で年収400万~450万円の場合、負担軽減割合は月945円。単身で年収200万~300万円の場合は月451円です。コーヒー1、2杯分だけです。これで「軽減」といえるのか、広く訴える必要があります。

消費者生活への圧迫は多大です

主婦連合会会長 有田芳子さん

 2017年度の総務省の家計調査をみると、消費税の負担率は年収400万円未満世帯の方が1000万円以上世帯よりも2倍強になっています。16年度よりも差は開いていて逆進性は、はっきりしています。

 政府は消費税を福祉関係に使うと言いますが、景気が良くなった実感もない中で強行すれば、消費者の生活への圧迫は多大です。防衛予算は増えていて、消費税を上げないといけないと言われても納得できません。

社会保障の充実していない

医療制度研究会副理事長・医師 本田宏さん

 消費税が社会保障を充実させるといわれてきましたが、そうなっていません。国民に正しい情報が伝わっていません。増税を機に消費税の問題点をアピールし、考える人を一人でも増やしたいです。

 いま多くの病院が赤字で苦しんでいます。都立病院も赤字が問題で、独立行政法人化が検討されています。水道の民営化と同じ方向で公的、社会的共通基盤をつぶす流れです。消費税10%ストップを、こうした流れを止めるきっかけにしたい。

「10月消費税10%ストップ!ネットワーク」アピール

 14日、「10月消費税10%ストップ!ネットワーク」の結成記者会見で発表されたアピールは次のとおりです。

   ◇   ◇

 国民のみなさん

 政府は予定通り、2019年10月から消費税率を10%に引き上げようとしています。

 家計消費は低迷し、深刻な消費不況が続いています。実質賃金は伸びず、年金受給額はさらに削られようとしています。金融資産を持たない世帯が全世帯の3割を超えるなど、格差と貧困は拡大する一方です。

 このまま税率が引き上げられれば、地域経済をさらに疲弊させ、中小企業や小規模事業者の営業を脅かし、雇用不安を招くなど国民生活は大変な影響を受けることになります。

 国民のみなさん

 政府が行おうとしている消費税増税のための景気対策は、一時的で対象も限定され、富裕層ほど大きな恩恵を受けるものです。「軽減」と宣伝されている複数税率による混乱も心配されています。

 消費税率引き上げのために莫大(ばくだい)な予算をつぎ込むなど本末転倒であり、本気で景気対策を行うというのなら、消費税10%への増税こそ中止すべきではないでしょうか。

 国民のみなさん

 景気悪化を招き、低所得者ほど負担が重いのが消費税の特徴です。「いま、消費税を上げる時なのか」といった疑問の声が大きく広がっています。

 私たちは「10月消費税10%ストップ!ネットワーク」を立ち上げ、2019年10月からの消費税増税を中止させるために、あらゆる手段を尽くして活動します。

 こうした趣旨に賛同いただき、ともに声をあげていただくことを呼び掛けます。


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