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2018年12月14日(金)

主張

もんじゅ後継開発

破綻した道をまたすすむのか

 巨費を投じながらほとんど運転できず廃炉が決まった高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)の後継炉開発について、経済産業省は、今世紀後半に本格運用するなどという工程表の骨子をまとめました。原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを高速炉で再利用する核燃料サイクルの仕組みは、「もんじゅ」の行き詰まりで完全に破綻しています。その大失敗に学ぼうとせず、高速炉開発を推進しようという安倍晋三政権の姿勢は異常です。後継炉計画への固執をやめ、開発の前提となる核燃料サイクルからきっぱり手を引くべきです。

国が旗振り役になって

 日本の原子力政策は原発からの使用済み核燃料に含まれるプルトニウムを取り出し再利用する核燃料サイクルの実現をめざしてきました。高速中性子を使い、消費した以上にプルトニウムを増やすことができる高速炉開発はその中核でした。

 ところが、その役割を担った「もんじゅ」は、水と激しく反応する冷却材の液体ナトリウムもれの大事故を起こす、炉内に3・3トンもの機器を落下させる、事故隠しをするなど問題が次々と発生し、1兆1000億円も国費を投じながら、20年余トラブル続きで、2016年に廃炉が決まりました。しかし、「もんじゅ」破綻の検証はまともにされていません。

 安倍政権はあくまで高速炉開発にこだわり続けます。「もんじゅ」廃炉を決めた際には「高速炉開発の方針」を改めて決定し、政府や電力業界、原発メーカーなどをメンバーとする高速炉開発会議(議長は世耕弘成経産相)を発足させました。その作業部会で初めてまとめたのが、今回の工程表の骨子です。年内をめどに同開発会議で決めようとしています。

 骨子では、国が長期的なビジョンを示し財政支援し、そのもとで原発メーカー(三菱重工、東芝、日立など)を競争させて開発を進める方向を盛り込みました。しかし、具体的な炉型などは示さず“開発ありき”の姿勢です。見通しのない新型炉開発を国が旗振り役になって続けようというのは、新たな無駄遣い以外の何物でもありません。「もんじゅ」と同じ過ちを繰り返すだけです。

 国際的にみても、高速炉開発は困難続きで経済的にも合わなくなっています。米英独など主要国の多くが撤退しています。フランスの高速炉の実用をめざす「アストリッド」計画に日本は協力を表明していましたが、仏政府は20年から予算を停止するなど大幅に見直す方針といわれています。

 安倍政権のすすめる核燃料サイクルは八方ふさがりの状態です。「もんじゅ」廃炉のほか、青森県で建設中の再処理工場を稼働させるめどもありません。最終処分場もできないのに原発再稼働をすすめれば核のゴミはたまるばかりです。破綻が明らかな核燃料サイクルから撤退、原発再稼働中止こそ必要です。

原発の推進をやめよ

 安倍政権は「エネルギー基本計画」で、原発を「ベースロード(基幹)電源」に位置づける一方、再生可能エネルギーの割合を従来の低い水準にとどめました。原発推進の破綻を取り繕う政策はやめて、原発ゼロ、再生エネの大量普及に踏み出すべきです。


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