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2018年12月14日(金)

全員勝訴 判決も前進

日本郵便 格差是正求める裁判

東京高裁

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 東京都や千葉県などで働く日本郵便の期間雇用社員3人(郵政産業労働者ユニオン組合員)が、正社員と同じ仕事をしているのに手当や休暇に格差があるのは違法だとして格差是正を求めていた裁判の控訴審判決が13日、東京高裁でありました。白石史子裁判長は、格差を不合理と認め、会社側に約167万円の支払いを命じました。一審判決よりも増額しました。

 労働契約法20条は、雇用期限を理由とした不合理な待遇差を禁止しています。日本郵便の期間雇用社員は、昇進や配転の範囲が同じ正社員にはある年末年始勤務や住居、扶養の各手当と夏期・冬期休暇がなく、病気休暇は無給となっています。

 東京地裁は昨年9月、年末年始勤務手当、住居手当、夏期・冬期休暇、有給の病気休暇の不支給は不合理として会社に約92万円の支払いを命令。同じ趣旨で争われた大阪地裁では今年2月、年末年始勤務、住居、扶養の各手当の格差を不合理として、全額の支払いを命じました。

写真

(写真)勝利判決を報告する原告団や支援者ら=13日、東京高裁前

 高裁は、一審で住居手当と年末年始勤務手当の6~8割支給の理由とした「正社員の長期雇用へのインセンティブ(報奨)」を認めず、全額支給を命令。夏期・冬期休暇、有給の病気休暇の不支給を不合理とした一審判決を維持し、有給の病気休暇がなく年休で対応せざるをえなかった損害も認めました。

 年間100万円近い格差がある夏期・年末手当は、「労使自治にゆだねられるべき部分が大きい」などとして容認しました。

 判決後に会見した水口洋介弁護士は、「差額全額を認めたことは評価できる。有給の病気休暇を認めたことは、(郵政グループで働く)約19万人の非正規雇用労働者にとって大きな労働条件の改善につながる」と指摘。原告の宇田川朝史さん(53)は「有給の病気休暇は悲願の一つだった。認められたのは前進だ。夏期・年末手当については全く納得できない」と訴えました。


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