しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年12月5日(水)

論戦ハイライト

入管法改定案 仁比議員 厳しく追及

法案根拠崩壊

 日本共産党の仁比聡平議員は4日の参院法務委員会で、入管法改定案の審議の土台にかかわる外国人労働者の実態問題で厳しく政府を追及。徹底審議のうえ廃案を求めました。


最賃未満「22人」 実際は1939人

写真

(写真)質問する仁比聡平議員(左)=4日、参院法務委

 政府はこれまで技能実習制度をめぐり最低賃金以下の給与を理由に失踪した者は22人としてきました。仁比氏は2017年度に失踪した実習生の聴取票に対する野党の書き取り分析の結果、それが1939人、全体の67%であるうえ、過労死ラインを超える長時間労働は10%に上ると指摘。2年前に技能実習制度の適正化法が作られたときの政府の認識も「技能実習の意欲が低く、より高い賃金を求めて失踪するものが多い」という欺瞞(ぎまん)的なものだったと糾弾しました。

 和田雅樹入管局長 ご指摘のような認識に立っていた。

 仁比 「実習意欲が低く、より高い賃金を求めて失踪するものが多い」という認識に立ったまま今回の入管法改定を提案している。法案提出にいたる政府の認識が根本から間違っていたことが明らかになった。これを脇において、政府、法務省への白紙委任は絶対に許されない。

 山下貴司法相 最賃以下、契約時の賃金以下など違法なものはしっかり調査する。賃金関係における説明書類提出の制度を設ける。

 仁比 野党の追及で実態が暴露されての言い逃れだ。見苦しい。旧制度下では実習生の給料は最賃以下でもよかったのか?

 和田 最賃以下は許されない。

 仁比 その原則を国会で答弁するようになったのは血のにじむような技能実習生のたたかいがあったからだ。

 仁比氏は、さらに悪質なブローカーの存在が技能実習生の搾取の構造として存在し、そのもとで失踪が起きていると指摘。14年以降2000あるといわれる今年度前半分の聴取票まで全てを国会に提出し、技能実習生の労働実態を明らかにするのが審議の土台だと述べました。

非正規も可 あげくに解雇も

 次に仁比氏は、「特定技能1」で働く労働者の雇用形態について、非正規を含むあらゆる形態が含まれるのかと質問。和田氏は、「原則として直接雇用」としつつ「真に必要不可欠な業種」では間接雇用もありうるとしました。

 仁比 「真に必要な」とは法案の何条に書いてあるか。

 和田 法案に記載はない。

 和田氏は、「原則直接雇用」も政府の基本方針で定める予定で法案にはないと認めました。仁比氏は「派遣や請負の雇用形態についても裁量のない政府の判断で定められる」とし「そうなればどんな重大な事態になるか」として、三重のシャープ亀山工場で2900人の外国人労働者が雇い止めにされた事例を紹介しました。

 3日に労働組合と労働弁護団が記者会見し、外国人が雇用契約を結んだ派遣会社が、1カ月、2カ月単位で派遣会社を転々とさせながら搾取を強めつつ、生産拡大だとして亀山工場に3000人送りこんだとしました。

 仁比 こういうことが「特定技能1」でも起こらない保証はないな。

 和田 労働法制がきちんと守られない受け入れ先には制裁措置がある。

 仁比 これまでもそういいながら現に外国人労働者の派遣が通用してきた。シャープ亀山工場は名だたる大企業だ。安上がりの労働者として外国人が現に使われ、解雇され、深刻な事態になっているではないか。

実習生搾取 新制度に横滑り

 仁比氏は、続けて厚生労働省に対し、外国人を紹介する業界団体、国際的な職業紹介事業の直近の許可、届け出数を質問。厚労省審議官は、国外にわたる職業紹介を行う旨の届け出をしている事業所は10月末時点で有料職業紹介事業許可が833事業所、無料職業紹介事業許可が133事業所、無料の職業紹介事業の届け出を行っている特別の事業所により設立された法人は1872などと答えました。

 未来投資会議委員の竹中平蔵氏が会長を務めるパソナなど国際的な人材リクルートを売りにする会社をはじめ、膨大な数の外国人職業紹介事業所があることを指摘。同時に、技能実習生の適正化を名目にする「監理団体」を隠れみのに悪質なブローカーが暗躍し、法に反する外国人労働者の搾取が横行する実態を告発し、政府の認識をただしました。

 山下 新たな外国人受け入れ拡大に関し、在留資格認定書交付の際に契約書を出してもらい、受け入れ機関に必要な立ち入り検査も行う。

 仁比 届け出られた書類を見ただけで分かるような甘いものではない。技能実習制度の監理団体は、これからの国際的な職業紹介や新たな外国人支援の機関とされる「登録支援機関」になれるのか。

 和田 登録支援機関の要件を満たしている者は排除しない。

 仁比 法務省は監理団体を隠れみのにした実習生への搾取、不正を正せずにきた。それを新制度に横滑りさせる。「特定技能1」は自由契約、双方の合意だというのは机上の空論だ。

 仁比質問は、外国人労働者の過酷な労働実態に基づかない新法導入論の土台を根本から突き崩しました。


pageup