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2018年12月2日(日)

水道法改定案参考人陳述

水メジャー、個人情報収集の危険

水ジャーナリスト アクアスフィア・水教育研究所代表 橋本淳司さん

 水道法改定案について、水ジャーナリスト・橋本淳司さんが11月29日の参院厚生労働委員会で行った意見陳述の要旨は次の通りです。


写真

(写真)意見陳述する橋本淳司氏=11月29日、参院厚労委

 世界的にコンセッション方式は民営化の一形態と考えられています。諸外国で再公営化した自治体の多くも同方式を行っていました。海外で再公営化した事例が180ありますが、多くは企業の業務内容と金の流れが不明瞭になったことに起因しています。多額の役員報酬、株式配当を支払い、水道へ投資を行わず税金も払わないケースもありました。

 日本の水道法でも(コンセッションの)管理監督責任は自治体に残ります。しかし職員減と定期的なジョブローテーション(異動)という状況では、自治体の管理監督責任能力は乏しく、高額な費用を支払い専門家やコンサルタントに依存するか、企業の報告をうのみにする危険性があります。

 付帯事業が、水メジャー(巨大企業)にとって大きな魅力です。余った水を海外に売ったり、個人の水使用量情報を集めて新たなビジネスを生み出すことができます。個人情報が企業に抜き取られる可能性があります。

 公共で水道事業を維持していく場合にも事業の見直しは急務です。地域に合ったさまざまな対策を講じなければ水道事業は継続できません。豪雨災害対策や森林保全など、従来の枠を超えた総合的な水行政を行う人材が必要です。必要なのは地域ごとの専門人材の育成です。コンセッションで民間企業に任せきりにしたら、地域に人が育ちません。“地域の水を地域に責任をもって届ける”というビジョンが地方自治体に求められています。


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