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2018年11月30日(金)

都係長が情報漏らす

浄水場談合疑惑企業に

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(写真)水ing株式会社が入っているビル=東京都港区

 東京都水道局発注の浄水場管理業務をめぐる談合疑惑で、都は29日、調査特別チームの中間報告書を公表しました。水道局の50代の男性係長(当時)が受託業者に入札情報を漏らした事実を認めたとしています。

 談合疑惑は、10月30日に公正取引委員会が都と水ing(スイング)、月島テクノメンテサービス、石垣メンテナンス、日本メンテナスエンジニヤリングの4社に独占禁止法違反の容疑で立ち入り検査を行い、発覚しました。

 都の七つの浄水場の排水処理施設の運転管理業務受注をめぐり、4社が毎年、事前に受注予定者を決めるなどの談合を繰り返していた疑いです。4社のうち水ingが談合の中心的な役割を果たしたとみられます。

 都の調査チームは、水道局の職員や元職員ら、延べ1200人余を調査。その結果、50代の係長が勤務していた浄水場で、2010年度から13年度にかけて排水処理施設の運転管理作業を受託していた会社に、複数回にわたり設計単価情報を漏らしたと認めました。職員が情報提供の見返りに業者から便宜供与を受けた事実は確認されていないとしています。

 報告書は再発防止策として、▽排水処理作業委託の抜本的見直し▽積算業務は現場でなく本庁で一括する▽第三者コンプライアンス委員会の設置―などを挙げています。


解説

OB天下り癒着調べず 都調査は不十分

 今回の談合疑惑で都が設置した調査チームは、2副知事と政策企画、総務、財務、水道の4局長で構成。談合の疑いのある7浄水場の業務委託で設計金額などを知り得た職員170人をヒアリングし、水道局の監察部門が31人を事情聴取し、浄水部関係職員1077人に記名式チェックシートの提出を求めたほか、総務局が4人の特別監察を行いました。

 都水道局が関与した入札情報漏えい・汚職事件、談合企業への都幹部天下り癒着は、20年以上前から問題になっていました。

 過去10年間に、都水道局職員が入札情報漏えいなどに関与し、刑事処分を受けた汚職事件は4件あります。

 また、▽1997年に都の水道メーター入札談合事件で東京地検特捜部が独禁法違反容疑で刑事告発した金門製作所、愛知時計電機の大手2社に都幹部3人が天下り▽公取委が99年に独禁法違反容疑で刑事告発した、ダクタイル(延性があり高強度の)鋳鉄水道管のヤミカルテル事件に関与したクボタ、栗本鉄工所、日本鋳鉄管、日本ダクタイル鉄管協会に都OB13人が天下り―していたことが本紙報道で判明しています。

 今回、公取委が立ち入り検査を行った水事業大手、水ingには水道局幹部OB2人が天下りしていた事実を本紙11月10日付でスクープしました。

 都の今回の調査は、入札情報漏えいや金品授受などに限定しており、受注企業との癒着は調査対象外とするなど、極めて不十分です。

 都OB天下りの実態を調査し、癒着構造を抜本是正するのかどうか、小池百合子知事の対応が問われます。(岡部裕三)


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